DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第七話
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は他の《適合者》をダイブさせるための機械を――――《DTL》を量産する期間も必要だった。清文にはこのシステムは知人が作った《STL》と言う機械を流用した、と言った。事実、これは例の少年が《STLの概念をコピーした全く別の存在》として作り上げた物を、現実世界でも作成しただけである。《親子》の関係の様なものである。
すべてが整った時――――それが、二か月前。六月の始めのこと。そのころに、もし清文に何かあったら呼ぶように、と、少年は杉浦琥珀、京崎秋也、そしてあの時の少女……天宮刹那と、その《兄》となった天宮陰斗の名を上げたのだった。
思えば、あのくせ毛の少年――――《白亜宮》の王、《主》と名乗ったあの少年の目的は、《六門神》を《ジ・アリス・レプリカ》の中に招き入れることだったのではないか。そのために必要だったのが、清文/セモンなのではないか。彼を利用することで、全VRワールドへの進軍が可能となったのではないだろうか。
ならば、小波はまんまと彼の口車に乗せられていたわけだ。自分の夢ばかりを追いかけたせいで、たった一人の大切な弟を危険な目に合わせている。
そう。大切な弟だ。両親既になき今、直接の家族は清文だけだ。それだけではない。清文は、小波が一切の違和感なしに《人間》としてふれあえる、唯一の人間なのだ。
千場ら《ボルボロ》の仲間たちとは、そこそこ人間として付き合えている気がする。が、それでもどこか距離を置いたところで彼らと接してしまっている気がする。いつもの軽い態度はそれを隠すためのもの。ちなみに両親に至っては、死んだ時ですら何の感慨もわいてこなかった。強いて言うなら、「あ、死んだんだ」と言った所か――――
「(全く、最低の姉貴だよ、俺は)」
自分には、責任がある。清文を、仲間たちを、そして名も知らぬVR世界の愛好者たちをも危険にさらしてしまったことに対する、責任が。
それを、どうにかして解決しなくてはいけない。奇しくもそれは、小波が初めて、清文以外の他人に本気で感情をぶつけている場面でもあった。
そんな折だ。驚愕の叫びが響いたのは。
「何!?」
大声で聞き返す。すると、叫んだオペレーター…ノイゾと名乗った少女が《白亜宮》のVRワールド侵攻を宣言した時に、清文の部屋に駆け込んできた男と同一人物だ…が、興奮冷めやらぬ、と言った声で続けた。
「《アルヴヘイム・オンライン》のユーザーが、《六門世界》に入り込んでいます!DTLからの指定ポイントへのログインも可能になっているようです!」
「何……だと!?」
それはすなわち――――《適合者》の資格を保有していなくてもダイブできるという事なのだろうか。
急いでDTLに飛び込み、ログインを試す。だが――
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