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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第99話 オマエの物は俺の物?
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うに思うのですが、それでも少しぐらいは足掻いてみても良いかな。そう考えて、少し不機嫌な口調で問い掛けてみる俺。
 但し、おそらく俺の言葉に対して聞く耳など持っていないハルヒには言うだけ無駄でしょうが。

「どうせすぐにサインする事に成るのだから、余計な手間を省いて上げただけよ」

 二つ目の菓子パンの袋を開けながら、予想通りの答えを返して来るハルヒ。
 そして、更に続けて、

「それに、そもそもあんたに許された言葉は、任務了解と、命なんて安い物さ。特に俺のはな、だけよ」

 正に自信過剰、傲岸不遜。我が道を行く。この涼宮ハルヒと言う名前の少女に相応しい台詞を口にした。
 ただ……。
 ただ、この台詞は以前に何処かで……。微妙に記憶を刺激する内容の台詞のような……。

 いや、割と近い記憶の中に存在する台詞であるのは間違いない。
 しかし、

「イエス、マム。……って、そんな訳有るか!
 そもそも、俺の基本的人権って何処にあるんや、ハルヒ?」

 かなり茶目っ気のある台詞で場を流す俺。
 そう、先ほどのハルヒの台詞は間違いなく今年の六月(ニューイの月)。ハルケギニア世界。それも、モンモランシーの屋敷に招かれた夜に夢の中に現れた少女が口にした台詞。
 更に、あの夢に現われた時の彼女は、以前にも同じ台詞を言った、とそう言いました。

 もしかすると、彼女の言う以前と言うのが、今、この瞬間の事なのでは……。

 まして……。
 この場にはあの夢の世界の事件に関わったもう一人の人物。湖の乙女と名乗った少女に非常に良く似た少女も存在して居ます。
 彼女……湖の乙女が言うには、夢に声のみで登場した少女は俺の前世に何らかの関係が有って――

 其処まで考えた後、その夢に関する重要な部分をふたつ、思い出す俺。
 それは、あの高いフェンスに囲まれた学校と思しき場所が、この北高校と呼ばれる高校に何処となく似ているような気がする事。
 確かに、学校が醸し出す雰囲気と言うのは何処も似たような物ですから、その一点だけを取ってあの夢に現われた場所がこの高校で、あの夢に現われた少女らが、ここに居る涼宮ハルヒと、そして長門有希だと断言出来るほどの証拠では有りません。
 ……が、しかし……。

 あの夢の世界に現われた存在で、俺や湖の乙女を案内するかのように周囲を取り囲んだ存在。湖の乙女によって、そいつ等は敵ではないと言われた妖樹。
 クトゥルフ神話に登場する黒い仔山羊とそっくりの魔物。
 そう、黒い仔山羊。こいつ等は千の仔を孕みし森の黒山羊シュブ・ニグラスの子供と言われている魔物。

 そして、この涼宮ハルヒと言う名前の少女は異世界……こことは違う、既に平行世界と成って仕舞った世界に於いて、そのシュブ・ニグラスの
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