第6章 流されて異界
第99話 オマエの物は俺の物?
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イイ男にはなれないわよ。
何か良く分からない理屈を口にした後に、さっさと袋を破いてクリームパンを口に運ぶハルヒ。
しかし、成るほど。俺の異世界同位体は一週間ほどの短い間しかこの世界には居なかったようですが、彼女とはそれなりの友人関係は結んでいたと言う事なのですか。それに、以前に同じようなシチュエーションが有ったとして、その際に俺がそんな細かい事でブツブツと文句を言い募ったとも思えないので、妙な違和感のような物を与えるのも得策ではないでしょう。
実際、被害は菓子パンの一個や二個。そんな細かい事を言っても意味は有りませんから。
「それで?」
どうぞ、の一言。そして、彼女らしい微笑みと共に置いて行った俺用の紅茶を口に運び、まったりモードの昼食を開始しているハルヒに対して問い掛ける俺。
……と言うか、紅茶まで横から奪われた、と言う事なのですが。
もっとも――
もっとも、もう、オマエの物は俺の物。俺の物は俺の物。……と言う超我が儘な理屈でもなんでも構いませんから、さっさとこんな場所に集められた理由だけでも教えて下さい、そう言う気分なんですから。
少なくとも、俺とハルヒの間にこんなトコロ……。文芸部の部室兼、ハルヒの作り出した意味不明の同好会の部室に呼び出される関係はないはず、なのですから。
「何、そんな事も聞かなくちゃ判らないって言うの?」
しかし、何故か非常に不本意だ、と言わんばかりの表情をこちらに見せ、そう言うハルヒ。少し尖らせたくちびるが、今の彼女の心情を現している。
ただ……。
ただ、そんな事を言われても、俺は読心術を使える訳でもなければ、未来予知の能力を持って居る訳でもない普通の……とは言い難いけど、そう言う部分に関しては一般人と大差のない術者。ハルヒの意図など判る訳がない。
「涼宮さん。武神さんは初めてなのですから、説明して上げた方が良いですよ」
女の子らしい小さなお弁当を開けながら、そう助け舟を出してくれる朝倉涼子。多分、面倒見が良いのでしょうけど、それならば、彼女自身から説明してくれても良いと思うのですが。
何と言うか、何処となくハルヒの反応を見て楽しんでいると言う雰囲気が漂って来るような気もするのですが……。
表情、それに視線にもそんな物を感じさせる事はない。しかし、蒼髪の委員長から感じる雰囲気が、何か非常に微笑ましい物を見つめる時の人間が発する雰囲気と言う物……のように感じている、と言う事です。
確かに自らに火の粉が降りかからなければ、これは面白い見世物かも知れませんが……。
本当に使えないわね。そう独り言のようにつぶやきながら俺を見つめるハルヒ。
しかし、
「今度の期末試験。赤点なんか取ったら許さないんだからね」
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