最終話 皇帝への道
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てください」
「どういう事です?」
こじれれば命を狙われる? どういう事だ、後継争いでそれどころではないと思うのだが。俺が問い返すと男爵は“こういう事です”と言った。
「コルプト子爵家が混乱した原因を作ったのがミッターマイヤー少将ですからね。それを取り除いた、仇を取ったというのは後継者としての正当性の証明になる。そう考える人間が出るかもしれません」
「なるほど、そりゃあるな」
爺さんが頷いている。確かに有り得る話だ、しかしうんざりだな。
「リメス男爵、御忠告、感謝する」
俺が礼を言うとリメス男爵は軽く笑みを浮かべた。
「何か力になれる事が有ったら言ってください。では」
リメス男爵が歩き出した、多分艦橋に向かうのだろう。俺と爺さんも逆方向に歩き出す。十分に距離が離れてから爺さんに話しかけた。
「妙な人物だな、何を考えているのか……」
「不安か、ミューゼル」
爺さんがニヤニヤしながら俺の顔を覗き込んだ。
「多少は有る、何と言うかちょっと得体のしれない所が有ると思う。爺さんはそうは思わないか?」
「まあそうだな、そういうところは有る」
「一番嫌な所は敵なのか味方なのか判断出来ない事だ」
「ほう、男爵はお前に好意的に見えるがな」
「貴族というのが他人を利用する事が上手いと言ったのは男爵自身だ。男爵も貴族だからな」
「なるほど」
“まあ俺もローエングラム伯爵家を継ぐけど”と言うと爺さんが笑い出した。
「お前は貴族には向かねえな。他人を利用するのが下手だ」
「……」
「いや、そうでもないか。ミュッケンベルガーは上手く利用した。やれば出来るじゃねえか」
思わず苦笑が漏れた。爺さんには敵わない……。
帝国暦 486年 12月 10日 オーディン 新無憂宮 ラインハルト・フォン・ローエングラム
「この度、陛下の御恩情をもちましてローエングラム伯爵家を継承致しました。心から御礼申し上げます」
片膝を着き恭しく頭を下げた。
「うむ、今日からローエングラム伯か。ローエングラム伯爵家は武門の名門、軍人であるそちには相応しかろう、確と努めるがよい」
「ははっ、必ずや御期待に添う事を誓います」
フリードリヒ四世が“うむ”と頷いた。酔っているのだろう、多少呂律が怪しい。こんな男が神聖不可侵なる銀河帝国皇帝とは……。もう少し、もう少しだ。上級大将になった、あと一つ勝てば帝国元帥になる。元帥府を開き有能な部下を招き何時か……。そして姉上を助け出す。もう少しだ。
「来年早々、そちを総司令官にして遠征軍を起こす」
「真でございますか?」
思わず声が弾んだ。皇帝が軽く笑うと“国務尚書”と傍にいたリヒテンラーデ侯に声をかけた。リヒテンラーデ侯が皇帝に一礼してからこちらを見た。好意の
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