暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
盗られたベッドと花畑
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「おまたせしましたー」
ウェイターがやってきた。
シリカは、その盆の上を見た時、言葉を失った。
その盆の上には、これでもかというぐらいの食べ物がのっていた。
まさかそれを全部食べるのか、とシリカが思っている間にもウェイターはレンの前に次々と置いていく。
レンはといえば、それまでののんびりとした笑みから、びっかぁーと光が出そうなくらいの眩しい笑顔に変わっていた。
「いっただっきまぁーす!!」
元気よく手を合わせて、次々と目の前のものを頬張っていくレンを見て、問いただす気にもなくなったシリカは、自分の前に置かれたフォークに手を伸ばした。
胸焼けがしそうなくらいの食事を終えた時には、時刻はすでに午後八時を回っていた。
明日の四十七層攻略に備えて早めに休むことにして、二人は風見鶏亭の二階に上がった。広い廊下の両脇に、ずらりと客室のドアが並んでいる。
レンが取った部屋は、偶然にもシリカの部屋の前だった。
顔を見合わせて、笑いながらおやすみを言う。
部屋に入ると、シリカは着替える前に、レンに貰った新しい短剣に慣れるために連続技の復習をすることにした。
レンに貰ったそれは、短剣にしてはかなり長い刀身で、それに短剣というより《短刀》という感じだった。しかしそれに比べ、重量は驚くほど軽く、扱いずらかった。
どうにか失敗なく五連撃を出せるようになったので、シリカはウィンドウを出して武装解除すると、下着姿でベッドに倒れこんだ。
壁を叩いてポップアップメニューを出し、部屋の明かりを落とす。
全身に重い疲労を感じていたので、すぐに寝付けると思っていたのだが、なぜかいつまでたっても眠りは訪れなかった。
ピナと友達になってからは、ずっと毎晩ふわふわの体をだいて寝ていたので、広いベッドが心細い。
散々ごろごろしてから寝ることを諦めて、シリカは上体を起こす。
正面の──レンの部屋のほうを見つめる。
──もう少し、話をしてみたい。
ふとそんなことを考えている自分に気付き、シリカは少し戸惑った。
相手は知り合ってまだたった半日の、しかも幼いとはいえ男性プレイヤーなのだ。これまで一定距離以内に近寄ることを頑なに避けてきたのに、どうしてあの笑顔の少年がこんなに気になるのだろう。
自分の心理を自分で説明できないまま、ちらりと視界右下の時刻表示を確認すると、もう十時近かった。
窓の下の通りを行き交うプレイヤーの足音もいつしか途絶え、かすかに犬の遠吠えだけが聞こえてくる。
いくらなんでも非常識だし、やっぱり寝ちゃおう。
頭では思ったのに、なぜかシリカは足音を殺してベッドから降りていた。
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