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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
24.July・Midnight:『Saint's』
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「随分柄は悪いが、神父の祈りなら御利益がありそうだな。まぁ、うちの神様は人間の祈りなんざカス以下だがよ」
「違いない。宗教後進国(ユナイテッド・ステイツ)の神など、その程度だ」

 対し、煙草を変容させる魔術『炎剣』を構えるステイル。摂氏三千度の剣が、彼の右手に現出する。

──相変わらずの、炎の魔術。やっぱり、奴の専門は火か……。

 隙無く、周囲に気を配る。感じたのは、辺りにバラ撒かれた神刻文字(ルーン)の魔力。夜の闇に紛れて判断しづらいが、どうやら、結界のようだ。
 手元を見遣る。玉虫色に煌めく漆黒の塊。その奥底から────深紅の瞳が、垣間見えた気がした。

「────“Fortis931”」
「あァ────?」

 そんな時、耳に届いた言葉。流暢な英国語で、それは嚆矢の耳朶を揺らして。

「殺し名……魔法名だ、僕の。“我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)”。即ち────」
「ッ────?!」

 瞬間、立ち上がる。ステイルの背後に、『何か』が、のそりと。

 それは周囲の空気を貪りながら。睨め付けるように、辺りを見回す。己が狩るべき、不浄の存在どもを……灰に還すべく。
 戯画化されたような手足を、頭をぎこちなく動かしながら。

「君を、此処で……灰に還そう」

 燃え盛る重油の塊の如き巨躯の、炎の国(ムスペルヘイム)の巨人。その名は────

「行くぞ────“魔女狩りの王(イノケンティウス)”!」

 魔女狩りの審判の裁定と共に。かつて、欧州や米国で猛威を振るった異端審問。
 悪名高き『魔女狩り』が、極東に幕を上げる────!
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