第3話〜自由行動日〜
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そなたの力になろう」
「ラウラ・・・ありがとう。君は優しいんだな」
そう言って微笑むケインの顔を見たラウラは胸の高鳴りが再来し、ケインから手を放した。例の如く「どうしたんだよ?」と尋ねるケインに「何でもない。明日、学院でな」と短く答え、彼を追い返す勢いで押し出してしまう。ケインは終始疑問符が頭に浮かんでいたが、今日のところは退散することにした。
(この高鳴りは、いったい何なのだ?)
ケインといると、まれに普段通りの自分でなくなる時があると感じたラウラは、原因を解明したいができずにもやもやしている。一方で部屋から出たケインは、時折見せるラウラの態度に自分は嫌われているのではないかと思っている。そんな双方の思いは伝わるはずもなかった。
「ふぅ。さて、コーヒーでも飲んで落ち着こう」
自室に戻り、導力ポッドを家から持ってきたケインはお湯を沸かしてインスタントコーヒーを入れる。現在のケインの家は帝都ヘイムダルのオスト地区にあり、近所だったということもあってマキアスとは8年前に知り合った。彼や、帝都知事である彼の父、カール・レーグニッツとは昔から良くしてもらっていてコーヒーの味を彼らに教えてもらった。コーヒーをカップに入れ、机に運んだところで誰かがノックする音が聞こえる。
「ケイン、ちょっと邪魔するわよ〜」
「・・・帰ってください」
「そんなに邪険にすることないじゃない!君に用があって来たのよ」
扉を開くとサラ教官が満面の笑みを浮かべて立っていたので嫌な予感がしたケインは、即座に閉めようとするが、用があるなら仕方ないと割り切って中に教官を招き入れた。
「・・・お疲れ様です。インスタントコーヒーぐらいしかありませんがよかったらどうぞ」
「あら、気が利くじゃない。うんうん♪素直なケインは可愛いケイン」
「あんた何様なんだよ・・・」
ケインのツッコミなど耳に入っていないのか、ケインの机に座って上機嫌にコーヒーを啜るサラ教官。ケインは大きな溜め息を一つ吐いてから自分のコーヒーも作った。その後、仏頂面のケインが「何の用なんですか?」と尋ねると、サラ教官は彼に手紙がきていることを告げ、それを渡す。受け取り、丁寧に封がしてあることから女性なのかと推測したケインは右手でコーヒーを飲み、左手で手紙を裏返して誰当てなのかを確認する。
「(え〜っと、Claire Rieve・・・)ブ〜〜!!」
「ちょっと。汚いわね・・・全く」
手紙の差出人に驚いてコーヒーを勢いよく真横に吹き出したケイン。床の汚れを拭きとるサラ教官。ケインは申し訳なさそうに目を伏せ、「すみません、教官」と素直に謝る。
「あたしも会いたかったわけじゃないんだけどたまたま駅前でね〜」
「何かすみません・・・その、巻
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