第3話〜自由行動日〜
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だ?)
心中で彼に問うも、ラウラの耳に聞こえてくるのは強く吹き付ける風の音だけだった。
「はぁ・・・困った。何でいつもこうなのかな、俺」
ラウラとのやりとりの後、夕食も取らずにシャワーだけ浴びて寮2階の自室、200号室のベッドにうつ伏せになるケイン。他人を突き放す言動をすることがあるが、根は優しく、せし事を後悔しては自己嫌悪に陥る。無論、ラウラにあんなことが言いたかったわけではないが、彼女のどこか悲しそうな顔を見ていられなくなり、弁解もしないで逃げてしまった。現状Z組は、オリエンテーリングの一件でアリサに避けられているリィン、貴族嫌悪のマキアスと彼に挑発的態度を取るユーシスの不仲の二つの問題を抱えている。自分までもがラウラと気まずい関係のままでいるのはまずい。ケインは、関係を修正するべく3階へ上がり、ラウラの部屋である303号室をノックすると中から「誰だ?」と言う声が聞こえてきた。
「ケインだ。えっと、話があるから公園のベンチに来てくれないか?
・・・嫌だったら来なくていいよ。それじゃあ」
「ま、待つのだ、ケイン」
「・・・ん?どうしたんだよ?」
「私の部屋に入るがよい」
「え?」
「私の部屋に入るがよい」
「いや、繰り返さなくていいよ」
ラウラの提案に逡巡していたが、どうやら本当にいいらしいと判断したケインは彼女の部屋にお邪魔した。ラウラの部屋は、年ごろの女の子としては簡素なものだったが、花の鉢植えが置いてあったり、机などの整理整頓がされていてさほど広くない寮の部屋でも十分に広く見える。
「む、あまりジロジロと見るでない」
「すまない。整理が行き届いた綺麗な部屋だと思っていたんだ」
「そ、そうか。年頃の女子としてはいささか簡素すぎる部屋だと思うが・・・」
「それは、素振りのためのスペース作りじゃないのか?」
「うん、その通りだ・・・さて、立ち話もなんだ。適当に座るがよい」
「分かった。ありがとう」
ラウラに促され、机の椅子を借りてベッドに座る彼女と対面するケイン。手合わせをした時とは別種の緊張感があるが、ケインから先に口を開く。
「・・・すまない。人にキツく当たってしまうのは、俺の短所なんだ」
「気にしていない。それと、私の方こそすまなかった。
どうも私は自分が見込んだ相手のことは知りたくなるのが性分なのだ。
・・・そなたの事情も知らぬのにな」
「ラウラは何も悪くないよ。
まぁ、話せる時がきたら話すから。それまで待っていてくれ」
「承知した」
ラウラと和解できたことに安堵していたケインは、突然左手をラウラに握られる。
「その、ケインの村のことは災難だったと思うが何かあれば言って欲しい。
いつでも
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