第3話〜自由行動日〜
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るはずもない。各自がシャワーを浴びて休憩の時間となり、昼食を取ることに。ケインの「俺が御馳走してもいいですか」という提案に、水泳部一同は賛成し、Z組の学生寮に行くことになった。学生寮は学院の正門を出たトリスタの街にある。貴族生徒が住む第一学生寮、平民生徒が住む第二学生寮はそれぞれ正門付近に位置しているが、Z組の場合は街の奥にある導力列車の駅付近にあるため、少々歩かなければならない。街そのものが小さいため、さしたる距離ではないが。寮へと案内し終えたケインは、一階の左にある食堂にみんなを座らせて厨房に向かった。この厨房はいわゆる自炊用で、お金の節約等をする為にある。無論、街や学院でも食べられるが、ケインはある食材を処理してしまいたかった。15分ほどで調理を完了し、皿に盛って運ぶ。
「ふむ・・・」「これは・・・!」「「おぉ・・・!」」
ケインが作ったのはサモーナを使ったフィッシュフライサンド。釣り具メーカーの御曹司、ケネス・レイクロードから偶然竿をもらったケインは、トリスタで川釣りをしていたが、どこから迷い込んだのか80アージュは下らないであろう大物のサモーナを釣り上げてしまった。しかし一人では食べきれないと処理に難航していたので、こういう機会に振る舞ってしまうのが良いと思ったということだ。
「その、どうですか?みんなの口に合えば良いんだけど・・・」
揚げ物特有の匂いに吊られて無言でフィッシュサンドを頬張る水泳部員達に、ケインが不安げに尋ねるが、返ってきたのは口をそろえて「美味しい!」の一言だった。胸を撫で下ろすケインに「何でこんなに美味いんだ?」や「何年前から料理してるんですか?」、「・・・女子として負けた気分だ」など質問の雨(質問じゃないものもあったが)が降りかかる。それにたじろぐケインだったが、掻い摘んで説明していくことにした。
「えっと、うちの村は基本的に自給自足だったから人手もあんまり足りてなかったんだ。
初めて包丁を持ったのが3歳ぐらい。6歳になったらもう家族分だけは賄ってたかな」
「ふむ、そなたの村か・・・一度行ってみたいものだな」
「すまない。俺の村は、もう無いんだよ」
「・・・軽率な事を言った。謝らせて欲しい」
ケインはラウラの謝罪に対して「平気だよ」と力なく笑った。その顔を見たラウラは、胸が締め付けられるような悲しみに襲われたが、慰めようにもそれ以上何も言うことができなかった。
「あら〜?何かいい匂いがすると思ったら。あんた達、辛気臭い顔してどうしたの〜?」
「昼間から酔った状態でビール瓶片手に持ってやたらとオッサン臭漂わせてるサラ教官こそどうしたんです?」
「流石にそれは言い過ぎではないか?」
「ハハ、つい本音が出たというか・・・」
シリアスな空気を壊して
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