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界最強の名を誇ったソ連赤軍の指導を受けた中華ソビエトの軍隊は、無数のT−34/85と血を埋め尽くす歩兵、大量の火砲の支援で生かすことにした。彼らは中華大陸で電撃戦を敢行したのだった。
そうした政治的、軍事的な理由から、8月現在の戦況も中華ソビエト優位に展開し、結果としてアメリカの国連軍結成と日本皇国への参戦要求に繋がるのだった。
高嶋少佐は積み重ねられた書類の山を1つ、処理することに成功し、遅めの昼食を取ることにした。
軍務省ビル1階の食堂で鯖味噌定食を頼んだ高嶋少佐は、窓際のテーブルに見知った顔を見つけた。
「久坂中佐、こちらよろしいでしょうか?」
「少佐か。構わない」
少佐が話しかけたのは、面長の顔に怜悧な視線を張り付けた肩幅の広い男だった。久坂中佐と呼ばれたその男は、カレーライスが載った盆を引き寄せて、高嶋少佐がおけるようにスペースをあけた。
「それは、噂の金曜日カレーでありますか?」
「ああ。船上勤務が長かったせいか、どうしても習慣が抜けなくてね」
2人が雑談に興じながら箸とスプーンを進めていると、高嶋少佐の隣の席へ滑り込むように人影が入り込んだ。
「お二人、失礼するよ」
ハンバーガーにポテト、そしてビンの黒い炭酸飲料と、アメリカナイズされた昼食を盆に載せてやって来たその男は、遠慮することなしに食事を始めた。
「加賀谷中佐、そんなところでアメリカを真似しなくとも」
「何を言ってるんです、久坂中佐。何事もまずは形からですよ。なあ、少佐?」
「私は日本風で満足しています」
「そうか。ところで、築城基地に陸軍の高射砲中隊を送る話はどうなってるんだ?」
「先ほど書面の通達は終わりました。1両日中に小倉の第132連隊から部隊が派遣されます」
「了解。基地防空隊の整備が進むまでは、色々頼ることになりそうだから、一つよろしく」
高嶋少佐が加賀谷中佐の質問に答えた。食事の手を止めないでいる。上官相手とはいえ、苦労を共有している3人の間では、少々の不遜な態度は黙認されていた。
久坂中佐が加賀帯中佐にスプーンを向けた。
「そういえば、空軍で哨戒機部隊の移管が話されているらしいが、本当か?」
「噂でしょう、噂。こっちはアメリカから払い下げられたB−24の運用でひいひい言ってるのに、また新しい飛行機を抱え込む余裕はありませんよ」
「そうか」
賀茂川中佐と加賀谷中佐は、それぞれ海軍と空軍から高嶋少佐と同じように統合軍令部に派遣された連絡将校だった。
普段から共に仕事を行う事が多い三人は、こうして食事どきに集まって、各々の情報を交換していた。陸海空軍の仲を取り持つために、それぞれが情報を欲した結果だった。情報のレベルは部隊移
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