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だった。
スコットからX2ロケットの噂を聞いてから、できる限りの情報を集めた結果、「実物がないとどうにもならない」という結論に達してから開発されたためか、KR1号はごくごくシンプルな設計となっていた。
1式噴進弾で開発した直径75mmの固体ロケットモーターを基礎に開発した、一回り大型の直径100mmの固体ロケットモーターを主エンジンとしている。推進剤にはもととなったモデルと同様にダブルベース火薬を使用している。
高高度観測用のロケットを名目として開発を進めてはいたが、KR1号は飛翔行程の試験を行うため内部には観測用の機器ではなく、速度計や回収のための発信器などが収められている。
長さ4mのロケットは、到達高度4,000mを目指していた。
「おう、間に合ったか」
「よく来たな、スコット。あと10分くらいで打ち上げだ」
「そうか、まあ待たせてもらうぜ」
東向に傾けて据え付けられたロケットの周りから作業員たちが退いていく。
彼らは土を盛り上げて作った簡易の掩体壕の裏側に潜り込んで、安全を確保する。
カウントダウンは、ゴダード博士の実験をアメリカで見てから雰囲気を保つために取り入れていた。20から数が減じていき、0になった瞬間、甲高い飛翔音と共にロケットが空へと打ち上げられた。
燃焼時間はそれほど長くはなかった。白煙をたなびかせて飛翔したロケットは、東の方向に向かい、そのコースを少しずつ南へと傾かせていく。
「まっすぐ飛ばないな……」
「翼配置かノズルの構造が問題か?」
「燃焼の偏りかもな」
放物線を描いたロケットは最高到達点に達すると、高度を下げて水平線の向こう側に消えた。
回収を頼んでいた地元の漁船に乗り込んだ社員から、発信器の信号を捉えたと連絡が入った。次へとつながる実験になったことを確認できた裕也は、ひとまず満足することにした。
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