第1部 戦後の混乱と沢城重工
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「……取り舵いっぱい。セイロンの舳先と平行に船体を揃えろ。それから、海防艦10号、12号に打電。進路確保に努力せよ」
「大佐!」
「ありがとうございます!」
副長と高嶋大尉の声が重なった。さらにあわただしくなった艦橋で、石井大佐は矢継ぎ早に指示を出しながら一言、「角田みたいな暴れ方も、1回くらいはやってみたかったのさ」とだけ返した。
それからほどなくして、衝撃が艦橋を襲った。8,000t近い「セイロン」の船体が20,000tを越える「神鷹」に衝突し、激しく船体を震わせた。「神鷹」はそれを受け流すように機動し、金切音を響かせながら「セイロン」から離れた。
転舵と衝突による傾斜で高嶋大尉はバランスを失して、手近な椅子を支えにする。巻き上げられた水しぶきが激しく艦橋の窓を叩く。
そのしぶきのむこうで、追いすがろうと転舵するセイロンに、海防艦がまとまりついて着かず離れずの位置をとるのが見えた。その間に、「神鷹」は増速し湾の出口へと急いだ。
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