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【短編集】現実だってファンタジー
俺馴? 外伝2ー1 [R-15?]
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んだ。

何一つ自分の疑問が解消されないままにさざめは朝食を食べていた。どういうわけか、いりこと2人きりでだ。いるべき両親もそこにはおらず、それどころか気配すら感じられない。もくもくと目の前の白ご飯と味噌汁、そしていくつかのおかずを減らしながら、さざめは料理の味を楽しむことも出来ずに周囲に目を走らせた。

食器棚。家族3人分と予備の食器が入っている筈の食器たちは、見覚えのないペア食器に統一されている。インテリアはさほど変わっていないが、父がいつも散らかしている新聞の広告や、母の買った怪しげな健康器具類が消滅し、家族を思わせるアイテムが見当たらない。飾ってある写真も全てさざめといりこが2人で写っているツーショットのものになっていて、写真立ても変わっている。

背筋にうすら寒いものが過る。この感覚は、いりこが突然現れたあの日に感じたそれに少し似ているようで、しかしあの時のそれより数段冷たく大きい。頭の中で錯綜する思考が、許容しがたい仮説を組み立てつつあるからだった。少しずつ、手足にかく汗が四肢の末端を冷やしていくような感覚が体を包んでいた。

昨日までこうじゃなかった、筈、なのだが。
その昨日が頭の中で曖昧で、不確かで、それが本当に昨日なのかそれとも1週間前なのか、1年前なのかは分からない。

この仮説の是非を確かめるのは、いりこに確認するしか方法が無い。そう思い、自分の向かい側に座ってこちらを見ているいりこの方に目をやる。

(まばた)き一つせずにこちらを見つめるいりこと、目があった。

「――っ」
「……あれ、ご飯美味しくなかった?」
「いや、そうじゃない、んだが……」
「ならよかった!今日も腕によりをかけて作っちゃったんだから!」

振り向いた時には、既にいりこがこちらの顔を凝視して微笑みを浮かべていた。さざめの反応から少々顔に不安のようなものが過っていたが、すぐに顔色の訳が食事ではない事を知って破顔している。
さざめにはそれよりも気になることがあった。いま、「今日も」と言ったか?それはどういう意味だ。そのことを問いただそうとして、しかし上手く言い出せなかったさざめは別の質問に変えた。

「その、おまえは朝飯食べないのか……?」
「もう食べたの。だからさざめくんも遠慮なく食べて?」
「なんでだ?お前……いつもは俺と一緒に食べたがってたろう」
「うん!でもそれはお昼と夕方にも出来るでしょ?だから朝はこうしてさざめ君の顔を眺めてるって決めたの。あれ、これ言ってなかったっけ?……まぁいっか。ささ、たぁくさん食べていいんだよ?」

そう答えたいりこの表情に、さざめはまた悪寒を覚えた。
彼女は美人だ。そしてその笑顔は見ているこっちが鬱陶しくなるほどのエネルギーに溢れている。故の彼女のファンも多い。だが今の彼
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