悪魔の島編
EP.19 S級クエスト解決
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「ゴホン……では、改めて整理するぞ」
ルーシィ・オン・ステージから数分後……ようやく落ち着きを取り戻したワタルは咳払いをして、先ほどの痴態を誤魔化し、依頼解決に向けての説明を始めた。
当然その程度で誤魔化しきれるものではないが、自分たちの存亡に関することのため、村人たちは一旦意識を切り替える。
因みに当のルーシィは飛んで行ったネジが嵌ったのか、自分がやらかした事に気付き、見た事の無い形相をしているエルザに怯えて、ナツとグレイの陰で震えている。
ナツとグレイとてエルザは怖いのだが……完全に自業自得とはいえ、小動物のように震えるルーシィを怒れる鬼の前に放り出すのは気が引けたのか、彼女のなされるがままだ。
いわゆる一つの仲間意識というやつである。
そのエルザは見ていて憐れになる程に震えているルーシィに怒る気が削がれたのか、溜息を吐くと村人たちの方を向き、ワタルの確認に加わった。
「依頼内容は紫色の月を壊す事。その紫色の月が出ている間、君たちはその姿になってしまう」
「それは3年前からの事だそうだが……間違いないか?」
エルザの問いに、村人たちはざわつきながらも肯定の意を示す。その反応に頷いた彼女は歩き出しながらも、ワタルとリオンから得た情報をもとに説明を続ける。
「紫色の月は月の雫の影響。その月の雫の儀式は3年前から行われていた……村からも、遺跡に降りる光が見えていたはず。だが――――キャア!!」
説明の途中だったのだが、エルザは可愛らしい悲鳴と共に落とし穴へ真っ逆さまに落ちて行ってしまった。
ルーシィがリオンの部下の魔導士を迎え撃つために、処女宮の星霊・バルゴに作らせたこの落とし穴――ルーシィ以外からは、作った本人のバルゴにすらもお粗末と評された――は村の壊滅と共に無くなったはずであった。だが、ウルティアの“時のアーク”はこんな(ルーシィ以外から見て)しょうも無いものまで復活させていたのだ。
先程エルザの逆鱗に触れかけた彼女は、ナツとグレイの陰で今度こそ終わったと、絶望する。
響いた悲鳴は普段の冷静なエルザから発されたとは思えない程に可愛らしく、ワタルは不意打ちに内心ドキドキしながらも、落ちた彼女に手を貸す。
「あー……ほら、掴まれ」
「あ、ああ……」
「ったく――ッ!?」
「お、おい!?」
突然だが、ガルナ島は月の雫の儀式で発生した魔力の膜で覆われている。この膜が、魔力に対して敏感なワタルの第六感を乱しているのは既に説明しただろう。
ワタルは近距離感知という方法でこれに対応。だが、いつもとは違う感知方法は知らず知らずのうちにワタルのストレスとなり、僅かとはいえ、その精神を侵していた
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