悪魔の島編
EP.19 S級クエスト解決
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て……」
「俺たちは普通に中まで入れたぞ?」
ワタルとエルザ以外の妖精の尻尾の面々が怪訝な表情をすると、村人たちが懇願するように弁解した。
曰く、信じてもらえない、何度も行こうとしたが一人もたどり着けなかった……etc。
彼らの目には嘘は感じられず、ますます困惑する3人と1匹。
「やはりな」
「あ、復活した」
いつのまに来ていたのか、ワタルの横でエルザが頷き、ハッピーの言葉も意に介さず、ワタルを見て口を開く。
「ワタル、後は私に任せてもらう」
「お、おい……」
「いいな?」
「はいはい……ったく――(……なんでコイツなんだか)」
乙女思考に入っても、行動すれば基本的に強引で理不尽。いつものように彼女に振り回されながらも、ワタルは溜息を吐きつつも了承。内心で愚痴りながら、周りを見る。
「……あれでいいだろう」
「ああ、十分だ」
ワタルが指差した見張り台と思われる建築物を目指し、これからやろうとしている事の準備に入ろうとしたエルザだったが、その前にもう一度ワタルに向き直る。
さっきほど近くはないが、それでも他の者に話し声を聞かれない程度には2人の距離は近い。ワタルの頭に先の光景が思い起こされ、再び思考が凶暴な熱に侵されるかと思ったその時だ。
「あまり無理はするなよ」
「え?」
穏やかな笑みと共に発せられた言葉に、ワタルは目を瞬かせると、思わず聞き返した。
「お前は他人に弱みを見せたがらないからな。パートナーなんだ、私くらいにはいいだろう」
「おま――」
「それだけだ…………ナツ、着いて来い!」
続いた言葉への反論には耳を貸さず、エルザはナツに声を掛けて見張り台に向かっていく。その際に『月を壊す』などと言うものだから、他の者が期待に沸いたり高揚したりドン引きしたりしている中……ワタルは一人溜息を吐くと、胡坐をかいて座り込む。
「子ども扱いかよ、ったく……」
口から出たのは憎まれ口だったが……その言葉とは裏腹に、顔には笑みが、胸の中には先ほど抱いた理性を焼き尽くす凶暴な熱ではなく、春の陽光のような暖かな熱が宿っていた。
あれだけ醜態を晒したんだ、長くつるんでいる彼女なら気付いてもおかしくは無い。
理性はそう思おうとしても、感情は違った。
『男の自分が女のあいつに心配されたくない』という、どこか子供じみた思考。
『パートナー』の言葉が、今までとは違う意味合いで心の中に入り込んだ事への戸惑い。
『彼女に心配されて嬉しかった』という、何とも単純な思考。
それらがないまぜになって、外と内でちぐはぐな反応になってしまったのだ。
ワタルは頭を掻くと、紫色の夜空を見上げる。
「まあ
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