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アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第18話「Uへの道/危険なクマ野郎」
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ごっそりなくなっていたのであった。
「早い者勝ち、という言葉を知らないのかにゃ?わちきに隙を見せると…」
ニヤリとグウェンが不穏な笑みをうかべる。
「いいかげんにしろ」
ゴンッ
「ふぎゃあ!?」
それを見逃すリックではなく、ゴスッと脳天にゲンコツを叩き落とす。
「あははは!もう、そういうのやめてよね!」
その光景にストランディンはカラカラと笑う。
まだ笑う余裕はあるのだ、と少しイダは安心した。
―――空元気でも、元気。それがまだ出来てるうちは大丈夫ね。
思えば昨日も、不安から眠れなかったのではないか、とイダは思う。
なんとか早く彼女らの父のもとへたどり着かねば、と思うイダであった。
―――その夜。
ザザザザザザザザ…
ただならぬ気配と風の音にイダが目を覚ましたのは、夜半を過ぎた頃のことだ。
目を覚ましたイダはリックに「気付の水」を渡される。
酸っぱい味の薬草を煎じたポーションの一種だ。眠気覚ましに使われる。
「スッパ…!何?何があったの?」
気付の水を一口含んで眠気を飛ばしたイダは、リックに状況を確認した。
「魔物だ。それも…やばいぞ。これは…」
「ええ。ここでこのようなものがいるとは…街道に現れるはずが…」
珍しく焦った声のリックのもたらす情報と、それを肯んずるシドの言葉に、
空気が張り詰めたのを感じた。
「―――どういうこと?」
「…この気配は…現役でヴァレリーと一緒なら何とかなったんだがなあ。ったく…」
黒月と蒼月が放つ光が大地を染める。その光のなかに、リックは一滴の汗を落した。
娘の問には答えず、ただ緊張感だけを増していく。
それは、気配がそれだけ危険であるということを端的に示していた。
「…万が一の場合、イダとお嬢さんたちだけでも頼むぞ、グウェン、坊さん」
「ちょ、ちょっと待って!?」
まるで死を覚悟したかのような父の言葉に、娘は声を落としながらも気色ばむ。
「まあ、万が一だ。逃げるだけならなんとかなる…はずだ」
緊迫した、今までに聞いたことのない父親の声にイダは真芯が冷えていくのを感じた。
一体、何が来ているのかわからないことも不安を助長している。
「落ち着いてください、イダさん。大丈夫」
言葉がようやく回復したのだろう、フェーブルがイダの肩に手をおいた。
「熊のようなシルエットが見えます。おそらく、魔法を使わないタイプのモンスター…
力は強そうですが、速さがなければ…逃げることはできると思います」
そう言う彼女の目は、瞳孔が猫の目のように開いていた。
死体を見たことが何度かあるイダは、一瞬肝を冷やす
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