暁 〜小説投稿サイト〜
アセイミナイフ -びっくり!転生したら私の奥義は乗用車!?-
第18話「Uへの道/危険なクマ野郎」
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とは出来ない。

当然のように加工された調味料である醤油や味噌など夢のまた夢だ。

ニラ卵に使った胡椒も、グリーンペッパー…つまり精製前の胡椒のため風味は

彼女にとって馴染みの深い黒胡椒や白胡椒とは異なる。

その上、保存液に漬け込む前のグリーンペッパーのため、本来のそれともぜんぜん違う味

となってしまっていた。

―――なんとしてでも、いつか醤油と味噌を自作してみせる。

彼女はそう誓っていた。この世界に麹があるかどうか。もし知っている人がいれば…

「ほう…これは素晴らしい。なんという野菜ですかな。スタミナが出そうな…」

シドはニラ卵を豪快に口に入れると、そう言って破顔した。

―――葷酒山門に入るを許さず、って言うけど、まあ和尚様もそんな感じだったし。

前の世界での「寺にニンニクやニラなどの精のつく食べ物や酒を入れてはならない」という

言葉を思い出しながら、シドの賞賛に「ニラという野菜なんですよ」と彼女は答えた。

「にゃー…こんな料理、できたん?知らなかったにゃ」

グウェンもじゃがいもを頬張りながら、イダに語りかける。

リックも同じように頷いている。まあ、双方とも「前世の記憶」だろうと思って、

それ以上は何も言わなかったのだが。

「うーん…このままだと、やっぱり4日かかっちゃうなあ…」

ニラ卵を半分に切ったじゃがいもに乗せて食べながら、ストランディンは肩を落とす。

フェーブルもその姿を見て、瞳を焚き火に落として同じように肩を落とした。

「そう焦るな。マナの流れが狂う病は、進行性でそうそう簡単には死なん」

リックはそう言って、ストランディンの肩に手をおいた。

焦っているのは傍目から見てもよくわかった。だが、焦っても仕方ないのは確かだ。

彼女らとイダたちが会ってからもう既に数日が経過している。

その間にどれだけ悪化しているだろうか、それを考えれば焦るのも理解はできた。

―――でも、どうしようもないんだよね。マーチにシドさんが乗れない以上…

もちろん、シドとグウェンあたりを残して先行する手はなくもない。

だが、彼女らの行く手にはストランディン達にセリとドクゼリを取り違えて教え、

下手をすれば死ぬような毒草の自生地に行くよう促したことはおろか、

ストランディンを誘拐せんと盗賊たちを使った相手である。

シドの戦力を欠かすのは非常に惜しいし、道中を考えれば危険であると言えた。

「にゃー、考えてても仕方ないにゃ。ご飯食べにゃよ」

「あ…うん、わかった…っておい。ちょっと待て」

ストランディンにつられて、自分も箸が止まっていたのだ、と思い至った時には、

皿に盛り分けられた粉吹き芋が
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