マクロスF
0738話
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そんなシェリルの世話をすること、数時間。ようやく呼吸が落ち着き、汗も掻かなくなってきて……不意にシェリルの目が開き、ベッドの隣に椅子を持ってきて本を読んでいた俺に視線が向けられる。
「気が付いたか」
「……ええ。またアクセルに助けられたわね」
呟き、その瞬間シェリルの目から涙がこぼれ落ちたのを、そっとシェリルの汗を拭いていたタオルでその涙を拭きながら口を開く。
「何故泣く?」
勿論自分がV型感染症に罹っていたという事や、グレイスの件を知ってしまった以上は涙を流しても不思議ではない。幾らシェリルが強いとは言っても、何にも負けない程に強いという訳では無いのだから。
だが、今シェリルが流した涙はそのようなものではないように思える。だからこそ尋ねたのだ。
「アクセルに……あたしの病気の事を知られたく無かったからよ」
「俺に?」
「ええ。誰に同情されたとしても、あるいは哀れまれたとしても……それでも、アクセルには、アクセルにだけはそんな目で見られたくなかったの」
「シェリル……」
「ふふっ、お笑いよね。いつもはシェリルですって顔をしてるのに、実はこんな気持ちを隠していたなんて。……でも、それでも……あたしは、アクセルにだけはありのままのあたしを見て欲しかったのよ。……軽蔑した?」
「そんな訳が無いだろ。それも含めてシェリルなんだからな」
「アクセル……もう、本当に馬鹿なんだから」
瞳に涙を貯めつつも、それでも口元に小さく浮かべる笑み。
俺はその涙を指で拭いつつ……そっとシェリルの頬へと手を触れ、その唇に自分の唇を重ねようとして……
「駄目っ!」
シェリルが俺を突き放すようにして顔を背ける。
「駄目なのよ、アクセル。あたしの病気を忘れたの? V型感染症は血液、体液型感染なのよ。あたしとキスなんかしたら……」
言い掛けたシェリルの頬に再び手を伸ばし、驚きで身体を固めたシェリルの唇へと半ば強引に自分の唇を重ねる。
一瞬驚きに目を見開いたシェリルだったが、それ以上は何も言わずにそっと目を閉じ、そのまま1分程熱烈な口付けを交わしてからそっと離れた。
俺とシェリルの唇の間に銀糸が繋がり、シェリルはそれを見て頬を赤く染めて呟く。
「……馬鹿よ、アクセル。V型感染症に感染しても知らないんだからね」
「問題無いさ。……そうだな、お前には話しておくべきだろう。いや、俺が聞いて貰いたいというのが正しいか」
「アクセル?」
幸い、この部屋にあるカメラは映像モニタだけだ。後は俺とシェリルのカメラのスイッチを切ればグレイスにこの部屋の中身を覗かれる事はない。
「シェリル、携帯は?」
「え? 病院にあるけど……」
「そうか」
シェリルの言葉に頷き、俺の携帯を
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