暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
マクロスF
0738話
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子供の頃の姿を見ていたのだから。

「シェリルッ!」

 呟き、寄り掛かっていた木から地面に倒れ込みそうになったシェリルを瞬動を使って受け止める。

「V型感染症、か。……アクセルには、知られたく……無かったんだけど、ね」
「お前、この熱は……」

 地面に倒れ込みそうになったシェリルを受け止めた俺の腕には、熱い程の体温を感じる。間違い無く熱が……先程のカナリアの説明が真実だとすれば、V型感染症を抑える為の薬の副作用だろう。
 今にもその瞳から涙がこぼれ落ちそうになりながら、そこまでが限界だったのだろう。そのまま俺の腕の中で意識を失う。

「シェリル……こんな体調で無茶な真似を。カナリア!」

 そっとその涙を拭い、発熱による身体の熱さにカナリアの名前を呼ぶ。
 だが、俺の視線を受けたカナリアはそっと首を横に振る。

「その症状はさっきも言ったV型感染症の対症薬によるものだ。残念だが私に出来るのは暖かくしてベッドで横になって貰うことくらいしかない」
「……アクセル、宿舎にシェリルを入れる事を許可する。お前の部屋に連れて行って眠らせてやれ。本来なら病院や医務室なんかに連れていくのが最善なんだろうが、グレイス・オコナーという存在がいるとなるとそれも難しいだろう」

 確かにインプラント処理をしているグレイスに、そのグレイスの手足となって動いているほぼサイボーグと言ってもいいブレラがいる事を考えれば、素手でブレラに対抗出来る俺が一緒にいるのがベスト、か。

「了解した。すぐにS.M.Sに戻る」

 オズマに頷き、そのままシェリルを横抱きにしてグリフィスパークの丘を後にする。
 シェリルがいる以上、幾ら急いでいるとは言っても影のゲートは使用出来ない。まず確実にグレイスの目が光っていると考えて動いた方がいい。
 さすがにこのままシェリルを横抱きにして電車やらバスに乗るのは自殺行為なので、近くの店で適当に買った帽子を被せて適当に変装させ、そのままタクシーでS.M.Sの宿舎まで戻る。
 中に入る時に警備の兵から色々言われるかと思っていたのだが、幸い既にオズマから連絡がいっていたのだろう。特に何も言われずに――冷やかすような視線は向けられたが――宿舎に入る事に成功する。
 そのまま俺の部屋まで行き、以前のようにベッドへと寝かしつけた。
 ……汗を掻いてる以上は服を脱がせた方がいいんだろうが、さすがにそんな真似は出来ない。かといって誰かを呼ぶってのもシェリルがここにいるってのを知られるのは色々と不味いだろうし。

「しょうがない、か」

 結局は以前と同じように毛布を数枚掛けてやり、汗を掻いたら拭いてやりシェリルが気が付くのを待つ。
 TV等を付けるでもなく、部屋の中にはシェリルの荒い吐息だけが聞こえていた。
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