トワノクウ
第十四夜 常つ御門の崩れ落つ(三)
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といい。お前にとっては故郷の衣だろう」
「朽葉さん……」
くうは感極まって朽葉に抱きついた。
「なんだ。今生の別れでもあるまいに」
思えばあまつきに来てから朽葉ほどくうに親身になってくれた人はいなかった。赤の他人で最初は紺の娘とも鴇時の教え子とも知らず、たまたま助けただけの子供にずっと優しくしてくれた。
くうはしばらくそのままの姿勢でいた。そうしてから、朽葉が持ってきた着替えからドレスを選んだ。またあの翼が出たときに、背中を露出したドレスならば心配ない。それに、朽葉の厚意を受け取りたかった。
なつかしいとさえ感じる人工繊維に袖を通す。胸の谷間が露出されるのも、着物のように足を動かしても引っかからないのも、帽子で視界が狭まるのも、久しぶりだった。
「髪が白いからか彼岸人だからかは分からんが」
朽葉は優しく笑う。
「お前にはその服のほうが似合っているよ」
くうはなんだか泣きたい気持ちになりながら、笑った。
Continue…
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