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銀河親爺伝説
第九話 第四次ティアマト会戦
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どうやら何かを仕掛けてくるようだ。爺さんを予備に回したのも俺と爺さんを分断するつもりかもしれない……。



帝国暦 486年 10月 20日   ティアマト星域  総旗艦ヴィルヘルミナ  グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー



馬鹿な! 一体何を考えている!
「こ、これは……、左翼部隊、我が軍の前方を横切りつつあります」
オペレータの声が上擦っていた。オペレータだけではない、皆が彼方此方で驚きの声を上げている。気持ちは分かる、今反乱軍に攻撃されたら左翼部隊は壊滅的な打撃を受けてしまう、そうなれば……。

「馬鹿な! 何故反乱軍は攻撃しない!」
フレーゲル男爵が喚いた。馬鹿が! 何も分かっていない。今攻撃されては拙いのだ! そうなれば兵力の約四分の一を失った我々だけで反乱軍を迎え撃つ事になる。敗北は必至だ。幸いな事に反乱軍は何もせずに左翼部隊を通過させている。おそらくはこちらの陽動作戦とでも思っているのだろう。

計算が狂った……。本来なら左翼部隊と反乱軍が潰し合いその後にこちらが反乱軍を押し潰す計算だった。だがこれでは……、我々と反乱軍が潰し合う事になってしまう。あの小僧、まさか……。
「元帥閣下」
声のした方向を見た。リメス男爵が居た。この男、驚いていない。馬鹿な……。

「何かな、リメス男爵」
声に震えは無い、大丈夫だ。
「攻撃の準備を、至近距離での砲撃戦になります」
「!」
冷たい声だった、非難の色が有る、慌てて目の前の状況を確認した。確かにリメス男爵の言う通りだ、反乱軍は至近の距離に迫っている。もう避けることは出来ない、左翼部隊の動きに気を取られ過ぎた!

「全艦に命令! 主砲斉射準備!」
「全艦に命令! 主砲斉射準備!」
私の命令をオペレータが復唱する。全ての艦隊に命令が伝わっただろう。後は左翼艦隊が通り過ぎるのを待って砲撃だ。あと少し、あと少し……。右手を上げた。
「ファイエル!」
振り下ろした右手が放ったかのように反乱軍に向かって光の束が放たれた。


……混戦、数時間後戦況は混戦状態になっていた。ミューゼル艦隊、もはや左翼部隊とは言えないだろう。あの艦隊は敵前旋回の後、反乱軍の側背に展開している。形としては帝国軍が反乱軍を正面と側背から半包囲しているように見える。しかし我々とミューゼル艦隊の間に連携は無い。帝国軍の主力と反乱軍は入り乱れて戦っている。連携を取るような余裕が無いのだ。

総旗艦ヴィルヘルミナでさえ最前線で反乱軍の攻撃を受けている。爆発したミサイル、レーザーのエネルギーの所為で艦体は小刻みに震えている。
「ミュッケンベルガー元帥、総旗艦を後退させましょう。今のままでは危険です。そして予備の投入を」
「フレーゲル男爵、無用だ、その必要は無い」
「し、し
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