第3話 鬼の少女、救いを求める
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「お願いですっ!この人を…土方さんを助けて下さいっ!!」
上条は目の前の事態に頭が働かなかった。目の前にいるのは明治時代に出てきそうな格好をした黒髪の男が血塗れで、それを介抱しようとしている男装したポニーテールの女の子だ。初めは教師と生徒のふざけた撮影かと思ったが、今までの経験でわかる。どう見ても本物の血だ。
そして、助けを求める目の前の女の子の表情はふざけたものじゃないと確信に近い何かを感じた。
そのため上条の行動は早かった
「おいっ大丈夫かっ!!」
すぐに男の容体を確認するが、素人の上条でも危険な状態な事にはすぐ分った。
「ひでぇっ…すぐ病院にっ!」
「アンタっ!一体どこまで走って…ってなによこれ!」
上条を追いかけてきた御坂がやっと到着し、現場の状況に驚いた
「と、とにかく救急車を呼ぶぞ!」
上条は急いで病院に連絡を入れたそのとき
「うっ…ち、千鶴……」
黒髪の男が僅かに意識を取り戻し、傍にいる少女に声をかける。
「土方さん?…土方さん!聞こえますか!?土方さん!!」
千鶴と呼ばれた少女は男の左手を祈るような形で強く握り、男は血塗られた右手で少女の頬を優しく撫でながら彼女の身を案じていた。
「…千鶴、怪我……無ぇか…?」
「私より土方さんが重傷じゃないですか!!もっと自分の体を大事にしてください!!」
「ばかやろう…てめぇの惚れた女すら守れないでどうするんだよ…新選組を…近藤さんを守れず、殆どの仲間が死んで…最後の最後に…やっと手に入れたお前を守れないじゃぁ、先に逝ったアイツ等に…会わせる顔が、無ぇじゃねぇか…」
この二人の会話に上条も御坂も口を出せずに見守るしかなかった。しかし上条と御坂の頭の中は『ひじかた』と呼ばれた男と言葉の内容から“ありえない”ワードが含まれていることに気付いた。
『“ひじかた”に“しんせんぐみ”……?』
『“こんどうさん”って……まさかっ!?』
「…うっ……ゲホッ…ゲホッ…ゲボォッ…」
男の咳がひどく、血を吐き、塞がりかけた傷も開き、再び血が流れた。
これには御坂も上条も慌てて
「ちょ、ちょっと貴方!!」
「おい!しっかりしろ!!」
「土方さん!!」
何度声をかけても土方の呼吸は荒くなり、流血も酷くる一方だった。このままでは出血多量で死ぬのも誰の目で見ても明らかだった。
少女は覚悟を決めた表情で腰に差していた小太刀を抜き、自分の腕を斬った
「お、おい!」
「アンタ、なにを…っ!」
上条と御坂は焦った。突然自分の腕を傷つけたのだから当然だ
少女は傷口から流れる血を口で吸い、その口に含んだ血を男に飲
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ