20話 『磨り減る器』
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シに云えるのは、それくらいだ。……そろそろ出てったらどうだ、紅いのに何か仕出かす気なら、容赦しないよ』
「す、するかよ……! そンなに主のコト思ってんなら、上掛けくらい掛けてやれっつのッ」
云いながらマゥスンにそっと掛けてやるランクだが、それにも気付いた様子もなく微動だにせず眠っている。
『アタシは人間じゃないんだ、そこまでは気が回らないよ。……お前は見かけによらず、気が利くもんだな』
「見かけは余計だっつのッ。(……氷結女とオレがこうして話てンのにも気付かねェくらい寝入ってるなンざ────やっぱ、強がってやがったのか。大した事ねェだの、問題ねェだの云いやがるのは、オレらに気を遣わせたかねェんだな、コイツなりに。そんなに頼りねェのか、オレ達は。いや、"オレ"か………?)」
もどかしい思いを抱きつつ、ランクはその場から離れるしかなくなり、音も無く部屋を後にする。
────翌日、一番先に起きていたのはマゥスンらしく、シファ、ビル、ランクと続いて4人は朝食を取らせて貰った後、広間で屋敷の主シドがやって来るのを待たされる。
「赤魔、オマエ……調子どーなンだよ」
昨晩の様子を目にしたランクにしてみれば、起きないのではないかと思わせる程の眠りに陥っていた為ひと晩中その事を気にしてあまり寝付けなかったが、当のマゥスンはいつも通りにしか答えない。
「 問題ない 」
「(それしか云う事ねェのかよッ。まぁオレらより先に起きてたし、何ともねェならそれでいいケドな………)」
「シドさん……、もしかしてまだ寝てたりするのかな?」
「依頼の報酬がどんなのか気になりまスけど……」
待ちくたびれ始めるシファとビル。
「皆さん、今少しお待ち下さい……。もう一度お呼び掛けして参りますので……!」
「いんやぁスマンすまん! 昨日の晩色々準備してたらうっかり寝過ごしちまって、お待たせしたばい?!」
メイドのテューテが何度目かの呼び掛けに向かおうとした所、大きな頭陀袋を背負ったシドが以前よりマシなベストに半ズボンの格好で、ぼさ頭を掻きつつようやく広間に現れた。
「おせーンだよオッサン、こちとら貰うモン貰ってさっさとズラかりてェとこだぜッ」
「まぁそう云わんと! あんた方に報酬くれてやったら俺っちもすぐ出発するかんな! そいじゃ早速……シーフのランク坊からな!」
シドは何やら使い古されたボロい頭陀袋の中を漁っている。
「これだこれ! 二刀の短剣グラディウス!! 鋭い斬れ味を保証するぞな!
黒魔のビル公には────魔導師の杖! 黒魔法の威力がより強まるってもんだ!
白魔のシファっちゃんには────癒しの杖! 回復力が通常よ
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