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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三話 女難、当たった!その二

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「十五歳以上はお酒を飲めるんだ」
「そうなんですか」
「うん、だからね」
「私達もですか」
「お酒飲めるんだ」
 このことを話した。
「だからね」
「お好み焼きと一緒に、ですね」
「ビール飲む?」
 詩織さんに笑顔で提案した。
「そちらも」
「あの、私お酒は」
「飲めないとか」
「一応。昔飲んだこともありますけれど」
 実際のところ子供も飲む、親戚の集まりとかで。僕は親父に十五歳になった時にワインのボトルをどんと出されて誕生祝いだと笑って言われた。
「それでも」
「弱いとかかな」
「夜にお願いします」
 これが詩織さんの返答だった。
「お昼ですから、今は」
「それでなんだ」
「はい、お好み焼きは大好きですけれど」
「今はだね」
「遠慮します」
 こう小さな声で答えてくれた。
「そうします」
「そうなんだ。それじゃあ僕もね」
 詩織さんが飲まないのならだった、相手の人が飲まないのに自分だけ飲むのもどうかと思ってそれでだ。
「飲まないよ」
「そうされますか」
「ただ、夜はね」
「飲みたければですね」
「畑中さんに言えばね」
 それでだ。
「飲めるから」
「お酒を」
「日本酒やビールだけでなくて」
 実は僕も飲んでいる、それで知っていることだ。
「ワインとかもあるから」
「ワインもですか」
「この町は飲んでもいいからね」
 僕は詩織さんに再びこのことを話した。
「このことは忘れないでね」
「わかりました」
「それじゃあね」
「はい、今からですね」
「お好み焼き食べに行こう」
 僕は微笑んで詩織さんに言ってだ、そうして。
 二人でそのお店に入ってだ、そのうえで。
 和風のお店、ソースと鰹節の香りがするそのお店の中で二人でそれぞれのお好み焼きを焼いて食べた、その中で。
 僕は詩織さんにだ、自分のエビ玉を食べつつこんなことを言った。尚詩織さんが食べているのはイカ玉だ。
「詩織さんってお好み焼き好きなんだ」
「はい、昔から」
「美味しいからかな」
 好きな理由はそれで、とも尋ねた。
「それでかな」
「それもありますけれど」
 その他の理由もだ、詩織さんは自分のお好み焼きを食べながら話してくれた。
「母とよく一緒に食べていました」
「お好み焼きを」
「母もお好み焼きが好きで」
「それでお店に行ったりして?」
「後、家の中でも」
 お好み焼きを作っていたというのだ。
「よく食べていました」
「お母さんが好きだったから」
「色々と入れられて栄養のバランスも取れて」
 そして、というのだ。
「御飯のおかずにもなりますから」
「そうそう、お好み焼きってね」
 僕は詩織さんの今の言葉にも頷いて答えた。
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