第三話 女難、当たった!その一
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第三話 女難、当たった!
僕はこの日日曜なので久しぶりに一人になった、と思ったら。
ばったりと詩織さんと出会わした、詩織さんは大人しい白のフレアスカートにエメラルドグリーンの上着という姿だった。
僕も驚いたけれど詩織さんもだ、目を丸くさせてこう言った。
「まさか」
「うん、ここで会うなんてね」
「思いも寄りませんでした」
「本当にね。それで義和さんはどうしてこちらに」
「いや、何となく」
「何となくですか」
「街で遊んでたんだけれど」
「お買いものをされてですね」
「そうなんだ、ここはね」
僕達が会った場所は商店街だ、八条町の二つの商店街のうちの一つだ。その商店街の中で買いものをしていたのだ、するとそこで詩織さんと会ったのだ。
「色々いいものが揃ってるから」
「そうですね、お店も多くて繁盛していますし」
「そう、ものもね」
「一杯ありますね」
「だから子供の頃からいつもここで遊んでるんだ」
それこそ子供の頃からだ、物心つく前から。
「時間があるとね。もう一つの商店街の方も」
「あちらもですね」
「うん、お昼を食べたり」
「お昼もですか」
「ここは美味しいお店も多いんだ」
お料理がである。
「だからね」
「どんなお店が美味しいですか?」
「食堂かな、まずは」
この商店街ならだった。
「トンカツが凄く美味しいんだ」
「その食堂はね」
「トンカツですか」
「他のお料理も美味しいけれど」
「第一はですね」
「その食堂の看板メニューなんだ、大きくて安くてね」
「何かよさそうですね」
「うん、だからね」
この商店街ならだった。
「そこがいいかな」
「そうですか」
「それとね」
その他にもだった、この商店街は。
「中華料理も美味しいお店があるんだ」
「中華もですか」
「レストランもあって、洋食屋っていうのかな」
「レストランっていうよりも」
「そっちになるかな、お好み焼き屋さんもあるよ」
このお店もある、この商店街には。
「そこもいいから」
「お好み焼きですか」
「詩織さんお好み焼き好きかな」
「大好きです」
これが詩織さんのお好み焼きについての返答だった。
「子供の頃から」
「じゃあ丁渡いいね、今から行く?」
「この商店街のお好み焼き屋さんにですか?」
「うん、どうするの?」
「それじゃあ」
詩織さんは一呼吸置いてから僕に答えた。
「お願いします」
「うん、じゃあまずは」
「お好み焼き屋さんで」
「食べて」
そしてだった。
「飲む?」
「お酒を、ですか」
「うん、この町はね」
八条町だけでの条例だ、日本の中でも例外中の例外の。
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