いつか全てを話してもらうぞ
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だろうかと今更ながらに思えてきた。
「なら、なぜ何の連絡もなかった」
「携帯がぶっ壊れた」
「ほぅ」
俺の即答に疑いの眼差しを向けられる。千冬の手にあるフォークが変形して見えるのは気のせいだ。
ちなみに俺が言った事は大嘘である。五年近く使っている携帯だが、未だ壊れる気配は無い。
「あの日、私の電話を無視したのも壊れていたからと?」
「お、おう」
目で人を殺せるというのはこの事を言うのだろう。目には見えないが今俺の喉には真剣が突きつけられている状態に近い。それほどまでに千冬の目が冷たい。おかげで見事にきょどってしまった。
「お前は・・・何を隠している?」
「何も」
千冬には悪いが、今俺がしている事は関係者以外に言えないし、話をするつもりもない。千冬が関係者になれば話す事はできるが、その可能性はゼロに近いだろう。俺も奴も千冬を使うつもりは一切ないのだから。
「そろそろ昼休みも終わるな」
わざとらしく腕時計に目をやる。ここに嘘はなく、午後の授業開始まで10分となっていた。俺は別に時間を気にする事はないのだが、クラス持ちである千冬はそうはいかない。千冬も時計を見て、一瞬だけ悔しそうに口元を歪ませた。
「そろそろ行った方がいいんじゃないか、織斑先生」
「・・・そうだな」
ゆっくりと立ち上がりトレーを持って歩き出す千冬。それを黙って見送る俺。と、千冬が俺の方に振り返った。
「シン・・・いつか全てを話してもらうぞ」
「・・・なんの事やら」
「ふん」
100%不満顔で千冬は食堂を出て行った。
ゆっくりと身体を脱力させ、湯飲みに手を伸ばす。熱々だった緑茶は生温いが、今の気分には丁度よかった。
「さすがに打鉄とラファール以外のデータは守りが厳重だな」
食堂で千冬によって削られた気力を回復させた後、整備格納庫へと戻りどんなデータがあるかを確認していた。もしかしたらうま味のあるデータに出会えるかもと思ったが、そう簡単に見られるはずもなく、IS学園にある各専用機のデータはしっかりとロックがかけられていた。
「この二機は見尽くしたからなぁ」
「白波先生、何をしているんですか?」
背後からかけられた言葉に振り返ると、つなぎ姿の穂村彩流が工具箱を持って立っていた。姿が見えないと思ったらISの整備に行っていたようだ。
「いや、打鉄のデータを見させてもらってる。ここのISは中々に良い整備がされてるよ」
「褒めても何もないですよ?」
「素直に受け取ってって、先生。今は生徒がいないんだ、多分歳も近そうだし敬語とか無しでいかないか?」
女性に対して歳云々という言葉は失礼かもしれないが、彼女とは本当に歳が近いと思う。俺より年上
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