第六章
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第六章
彼にだ。こう言うのだった。
「あの、これを」
「あっ、薔薇だね」
「これを。よかったらどうぞ」
「有り難う」
受け取ってだ。すぐに礼を述べるヘルナンデスだった。
「有り難く受け取らせてもらうね」
「はい、そうして頂ければ何よりです」
「いや、実はさ」
そしてだ。ヘルナンデスはだ。
その白薔薇を見ながらだ。こう言うのであった。
「うちのも好きなんだよ」
「はい?」
「いや、うちのが白い薔薇が好きでさ」
こうだ。神父に対して話すのである。
「妻もね。喜ぶよ」
「奥さんがですか」
「あれっ、俺結婚してるよ」
気さくに、何も知らないでだ。ヘルナンデスは笑って神父に話すのである。
「もう二年になるよ」
「そうだったんですか」
実は神父はそのことを知らなかった。彼には夢中だったがそれでもだ。そうしたことまではとても知らなかったのだ。今この時までだ。
だがそれを聞いてだ。彼はだ。
呆然となってて。そのうえでヘルナンデスの話を聞いていた。
そしてヘルナンデスもだ。さらにこう言うのであった。
「流石は神様にお仕えしているだけはあるよ」
「はあ」
「うちのが好きなものまでわかってるなんてね。いや、本当に有り難う」
「左様ですか」
呆然とした声でだ。応える神父だった。その神父にだ。
ヘルナンデスはさらに話す。彼の周りにもだ。
「試合に勝ってこんなものも貰って」
「ああ、最高だよな」
「最高のプレゼントだよ」
「神父さん有り難うね」
「いえ、喜んで頂けたら」
こうしてだった。彼はだ。
花束を手渡してからヘルナンデスの前から去るのだった。こうして終わった。
それから暫くだ。彼はだ。
放心していた。ただ仕事をこなしているだけになっていた。その彼にだ。
シスターがだ。こう声をかけてきたのである。
「あの」
「はい。何でしょうか」
「何があったのかはわからないですけれど」
何があったのかはだ。あえて聞かないのだった。
それは神父への気遣いだった。そうして話すのであった。
「とりあえずはですね」
「とりあえずは?」
「チーズがあります」
まずはそれがあると話す彼女だった。実は神父の好物である。
「それとワインが」
「神の血ですか」
「少し。飲まれますか?」
酒を勧めたのである。
「そうされますか?」
「そうですね」
神父もだ。シスターのその言葉に頷いた。
そしてそのうえでだ。こう答えたのである。
「それでは今から」
「飲まれますか」
「神の血は全てを癒してくれます」
酒にはだ。それだけのものがあるというのだ。
「では。私も」
「はい、今からそうしましょう」
こう話してだった。神父はだ。
穏やかな
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