9話:ハラキリシグナル 戯言遣いと妖刀「鋸」
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てしまった。
瞬間、卵が落ちた場所に僕と同じくらいの高さの、謎の生物が現れた。
「なんだ、これ?」
生物は全身緑色をしており、足が四本で腕はない。顔は単純にくり貫いただけのような目と口がついているだけだ。なんというか、体は四角くまるでブロックを組み合わせて作り出されたような生物だった。
反応に困る。哀川さんなら面白がるのだろうが、流石の戯言遣いも週刊少年ジャンプみたいな超展開には慣れていないのである。
戯言だけどね。
それに、ぼくはさっきの悲鳴の方が気になった。あの声は確かに、ぼくに話しかけてきた少女の声だった。彼女に何かあったのだろう。
ぼくは生物をおいてけぼりにし、デイパックを背負って少女を追いかけた。
◆
桂言葉は質問に答えてくれた青年にお礼と別れを告げ、その場を去った。
その後は少し歩いたものの、デイパックが意外と重いので言葉は大きな木の影に腰掛け、デイパックを置いた。こんなに重いなんて何が入っているのだろうとデイパックを開けた。
そこまではまだよかった。
問題は、デイパックを開けた際に露になった鞘にも収まらず抜き身のまま入っていた日本刀に触ったことだった。
触れた瞬間に言葉の中に決してやむことの無い“愛”が流れ込んできた。
愛してる。愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛し愛し愛し愛し愛し愛し愛し愛し愛愛愛愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる
「あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああ!!!!」
彼女の上げた絶叫が、森の中に響いた。
妖刀罪歌。
それが、桂言葉を乗っ取った刀の名前である。
◆
「この辺りで別れたはずなんだけど……」
見当たらない。
さっきの少女の叫びはあれから一度もあがっていない。
もしかしたら、殺し合いに乗った者に襲われて上げた最期の言葉だったのかもしれない。
「……またか」
彼女も、ぼくのせいで死んだのだろうか。
ガサリ。
そんな音が背後に聞こえた。
ふりかえってみると、そこには刀を携えたさっきの少女がいた。
だからぼくは、
全力で、
逃げ出した。
彼女の目は、人類最強と匹敵するくらいの、虚ろな赤だった。
ビュン、と派手に風を切った音がする。
背中が軽くなったと思ったら、ぼくの背負っていたデイパックが地面に落ちていた。
(切られ
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