7話、潜在軍事力
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
六日目の昼。俺はアンドロイド軍団を引き連れてD棟に来ていた。
倉庫や軍用ロボット組み立て工場、修理工場などがあるD棟は、研究所最大の延べ床面積を誇っている。
我が研究所が故障原因の調査などで他の追随を許さないため、倉庫は軍から預かった不具合ロボットで何時も満杯である。
俺も年に延べニ、三週間ほど故障原因の究明に駆り出されたものだ。ほとんど強制だったがあまり不満はない。研究する時間を削られる代わりに、金払いの良い軍おかげで研究費が稼げたからだ。
「これはM-25型戦闘ロボットです。身長百二十センチ、体重二百キログラム。拠点防衛には最適とされています」
俺もこの機体の事故調査にかかわったことがあるからよく知っている。武器を持たせないと人間と早歩き型ゾンビには逃げられるが、通常型ゾンビには多少効果がある。
しかもD館3Fの第7倉庫には、M-25型戦闘ロボットがずらりと並んでいる。一列四十体として十列で四百体で、対ゾンビなら役立つだろう。
「研究所には何体いるんだ」
「この倉庫に四百体、研究所全体には千十五体あります」
「はあ?そんなにあるのか」
「はい、もともとM-25型はプログラムに致命的な不具合が見つかり除籍扱いになり軍の倉庫に保管されていたのですが、当研究所がプログラムの改修を請け負った際、山田所長が新型バッテリー搭載などいくつかのマイナーチェンジを提案して、こちらで預かったのです」
「なるほど、やり手の山田所長らしいな。待てよ、まだ研究所にあるということは不具合は直ってないのか」
「いえ、確かに直ってない機体もありますが、少なくともここにある機体は改修済みです。ですが、稼働にあたり一つ問題があります。新型バッテリーの納品が遅れていて、総てを稼働させることは不可能です」
「何体動かせるんだ」
「M-25型には最大5個のバッテリーを搭載できますが、バッテリー自体がその部屋に積まれている八百個しかありません」
「最大八百体を動かせるのか……。いや、バッテリーニ個づつで四百体を稼働させるか、或いはフル装備で百六十体……、ちょっと悩むな」
いや、考えるまでもない、バッテリー搭載作業はアンドロイドでも出来るが、ロボット取り扱い根本原則のおかげで、百六十体稼働させるだけでも一仕事になる。
「まずはフル装填で百体稼働させる。本館の戦闘アンドロイドを呼び寄せて、バッテリーを搭載させろ」
そして、俺はロボットのご主人様を変更するなど面倒な単純作業を始めた。一度軍に引き渡されたロボットのプログラム変更は、かなり複雑な作業なのだ。無論、ゾンビの世界を生き残るためと思えば、これくらいの面倒なんか苦でもないが……
それから俺はかなり長い時間ひたすら稼働作業を行い、疲れて限界と思うまで手を止めなかった。
「キャリー、今、何時だ?」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ