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ゾンビの世界は意外に余裕だった
7話、潜在軍事力
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三人とも薬を飲んで安静にしていたら治る病気だ。

 夕方になり目標の百体の稼働作業がようやく終わった。とはいえ武器がなく、ゾンビの影もないので本館地下駐車場に待機させておく。

 倉庫に並んでいる姿を見て思わず勢いで稼働させてしまったが、結局疲れただけで損したような気がしてきた。今日はもう休むか……

 いや、少しD棟を見てまわろう。役立ちそうなロボットがいるかもしれないと思っていたら、案の定、D棟3Fの第八倉庫でM-27型戦闘ロボットを発見する。

 M-27型は金属マネキンのような人型戦闘ロボットだ。研究所には全部で百十三体いるらしいが、この倉庫には五十体を超えるくらいしかいない。幸いバッテリーはフル装備で、プログラムを少し直せば故障も治る。

 つーか、このM-27型戦闘ロボットなら鉄棒を持てる上に、人より速く走れる機動力まである。例えM-25型に防御力が劣るにせよ、優先して稼働させるべきだった。

 反省した俺はもう止まらない。電話番の半分徹夜どころではない、本格的な徹夜でM-27を稼働させることを決めた。


 ……そして、八日目の朝がやってきた。負けず嫌い精神を燃え盛らせてしまった俺は、一心不乱でM-27型戦闘ロボットを稼働させた結果、いつの間にか徹夜をしていた。金属マネキン……M-27型戦闘ロボットは数えたら五十四体も稼働している。もう研究所はただのゾンビ相手なら無敵状態なのかもしれない。

 欠伸をしながら朝日の眩しい研究所内の遊歩道を歩く。D棟から本館までは五分ほどの散歩コースだ。

 途中、眠くて野宿しそうになったが何とか踏ん張って本館に転がり込むと、脳内最大勢力の睡眠欲に従って仮眠室にまっしぐらに突き進んだ。


「腹減った」

 目覚めたのは午後だった。まだ眠りたりなかったが、昨日の晩ご飯から何も食べていなかったせいか、もの凄くお腹が減っていたので起きることにする。今は睡眠欲より食欲に負けた。食堂でケイラの手料理をどか食いして、それから熱めのシャワーを浴びて目を完全に覚ます。

 ようやく復活した俺は、何時ものように警備指令室に赴いた。そしてテレビを付けると、そこでは信じられない報道をしていた。

 なんと、大日本共和国はゾンビの殲滅作戦を縮小すると発表していたのだ。官房長官は未曽有の危機を強調しながら、ライフラインの維持に努めることや安全な地域の拡大は今後も続くと約束していたが、信じる国民はかなり少ないだろう。

 これには有名軍事評論家もお怒りだ。彼は政府機関施設とその周辺に軍や警察を過剰配備し過ぎていることを嘆き、人間とゾンビの激戦地を数多く見捨てるのは戦略というより保身だと吠えた。また現在、比較的治安の良い都市もいずれゾンビと人間の激戦地を見捨てたツケを払うと警告。さらに政府が失敗を隠すためインターネットなどを遮断する可能性
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