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ゾンビの世界は意外に余裕だった
7話、潜在軍事力
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 俺は屈伸しながら振り返る。アンドロイド軍団はとっくにバッテリー設置作業を終えて、暇そうにたむろしていた。

「二十二時です」

「二十二? もう夜十時か。よし作業を中断する、ケイラちゃんにマグロ丼を食べたいと伝えてくれ」

「わかりました」

 なんだかんだで十時間ほど作業したがまだロボットは半分を超えたくらいしか稼働してない。まあ、仕方ない。明日もこの作業をしよう。

 俺がD棟を出ようとすると、キャリーが稼働したロボット達の充電をして良いか尋ねてきた。もちろん任せだ。


 所長歴七日目の朝。まだ高橋グループの患者は来ていない。俺は機能の続きをこなすためD棟のロボット稼働に向かった。

「そういえば、軍は研究所の戦闘ロボット軍団が修理を終えていて稼働することを知っているのか」
「知らないはずです。納期もだいぶ先でしたから」

「軍に教えてやるか。ついでに武器とバッテリーを持ってこいって。キャリー。防衛省のうちの担当官を呼び出してくれ」

 さすがにこの非常時に千体の戦闘ロボットを抱えて眠らしておくのは、俺の鋼の良心が咎める。それに百体も稼働させるだけでも今はいっぱいいっぱいだ。

「……駄目です。どうやら軍は一般市民からの電話をシャットアウトしているようです」
「一般市民じゃないぞ。提携している研究所の臨時所長だ。自衛軍の専用電話交換所を経由して、研究所関連の軍人達に電話をかけまくれ」
「了解です……ボス」

 だが、軍も忙しいのかなかなか電話に誰も出てくれない。

「ボス、交換所の自動案内が入りました」

 俺はキャリーから受話器をひったくった。

「現在この電話交換所は自衛軍の緊急用通信のみ受け付けています。あなたの電話番号はこの電話交換所を使用できません。以後、こちらを経由しようとする場合、緊急時通信確保法の妨害行為として、取り締まり対象となります」

 どういうわけか善意で行動している俺が自動音声様に怒られているらしい。俺はぶっちょうづらになって受話器を戻した。

「よもや研究所の担当者全員が電話に出ないとはな」
「はい。ですが何人かにはこちらに電話をかけるよう留守番に残しています」
「そうか。ご苦労だった。それに法律なら仕方ない」

 報告義務を果たして俺はあっさり引き下がり、ロボットの稼働作業を繰り返した。 

 ちょうど八十体目のM-25戦闘ロボットを稼働させた時、五人のお客様がやってきた。 対応するのは慶太、幸子、Dr.コンクだ。

 俺はアンドロイド達の反対で行かない。どんな病気か判明するまで離れていろということらしい。 ちょっと気になるものの八十一体目の稼働に取りかかる。

 八十六体目が稼働した時、診察は終わった。挨拶したいということだが、わざわざ行くのも面倒くさくなったので、患者をすぐに休ませるように言ってさっさと帰って貰った。
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