第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
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………これ程の…………
膝から崩れ落ち、硬い石畳に落ちる体。その感覚を最後に、深い闇が広がって────…………
………………
…………
……
水滴。無窮の虚空から霊質の一滴が、ポタリと。それに目を醒ました、天魔色の髪に蜂蜜酒の瞳を持つ少年が見たのは────海岸。
「此所は……」
金色の塵が舞う、菫色の霧。夜明けの青に煌めく銀燐。星の煌めきだと気付いたのは、僅かに遅れて。
明瞭となりゆく意識がまず認めたのは、白く香しいロトスの花。そして紅いカメロテが、星を鏤めたかのように咲き乱れた海岸だった。
「また、か」
あの、魔具の内側。確か、魔神どもの箱庭の。そう言っていた……誰が? 否、師父に言われた筈だ。そうだ、その筈だ。
まだ、痺れの残る脳味噌を揺らして仰向けに。見上げた『虚空』には、見えもしない新月が。『闇を彷徨う』だけだったモノから位階を上げた『悪心』が、嘲笑いながら憎しみの影を放っている。
「何だよ……見てんじゃねェ、クソッタレ。悔しかったら、俺を従わせてみろ」
悪態吐く。それだけで、透明な月は腹立たしげに居なくなる。元々、居もしないものだが。
「ふふ、ほら? あんよが上手、あんよが上手」
「ふふ、ほら? 鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
代わり、視界の端に金と銀。『何か』と戯れながら、星屑の砂浜を走る足音二つと。
『てけり・り。てけり・り』
その後を、ずりずりと蠢く大空洞。コールタールの塊のような『何か』が。スライム状の、子供が作った砂山程に盛り上がった粘液塗れの身体に幾つも、血走った目や乱杭歯の口を浮かび上がらせては沈み込ませて。
アメーバのように原形質の、玉虫色に鈍く光る身体を這いずらせて不快な金切り声で鳴きながら、金銀の双子を追い掛けている。
「……………………なんぞ、あれ」
理解不能である。少なくとも、狂気にはそれなりに慣れている筈の嚆矢ですら、見るだけであのスライム(?)には正気を削られている。
そんな怪物と、まるで『我が子と戯れる』かのように渚で遊ぶ、二羽の鶺鴒は。
あの二人は……一体、何者なのか。
──確か、金の子は『二十六文字の賢者の石』……だっけ? んで、銀の子は…………教えてくれなかったんだっけか。
そう言えば、と。二人の姿を見た刹那、思い出した記憶。今まで、忘れていた……というよりは、覚えていてもいなくても同|じ《
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