第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
??.----・error:『Nyarlathotep』U
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完全武装した魔女と相対したかのような。精々刻んだ、『話術』の神刻文字が気休めにもならない。助けて義母さん、ヘルプミー!
紙背どころか掌ですらも徹しそうな鋭い眼光に若干、脚が震える。あの麦野沈利でも、これ程まではなかった。いや、もし敵対とかしたらこれ以上かもしれないが。
首の兎足を握り締めながら、そう、居もしない人に祈って。
「────それが。それが寮の規則と、何の関係が?」
「────アハハ。ですよね……」
曖昧に笑う。即応、一切の揺るぎがない鉄の面皮が返ってくる。投石をしたら、ロケット弾が返って来たくらいの驚きだ。
──メーデーメーデー、戦力差は歴然。至急支援求む! 零時方向、超電磁砲撃ってくれ……ッてなモンだ。
開戦三分、もう、心が折れそうだ。十五分前の俺をしこたまぶん殴りたい。
因みに、頼みの美琴も黒子も諦めた表情で背後。あの、超能力者の第三位と大能力者の空間移動者までもが、だ。
何かしらの武芸を極めたか、或いは魔術でも使うのか。確かに、立ち居振舞いは堂に入ったもの。纏う気配は、達人のソレ。抜き身の刃のように、少しでも気を抜けば唐竹割りにされそうな。
だからと、そこまで闘士脳な訳ではないが。俄に、興味が沸いて。
固めていた拳を、開く。彼の武術、その構えの一つ。右腕を差し伸べる形の特異な、彼の最も得意な構え。蚯蚓の怪物と、事象の地平面を投げた時の構えだ。
「ふむ。構えは大したものですね。古流柔術、合気道……確か、『理合』を標榜するという隠岐津流の構え」
「ッ……大したものは、此方の台詞です。まさか、構えだけで看破されるとは────!?」
そこまで口にした瞬間、凍り付いた。握手、していたのだ。右手で、寮監の右手と。
この数年、初めて『武の師父』と会って、ほいほい握手に応えて挨拶がわりに投げられた時。それ以来の迂闊である。
だから、耐えられる。いや、耐えなければ。でなければ、あの日以来進歩がないと言う事。それだけは、と────踏み締め、落とした腰。完璧なまでに、寮監の『柔』を受け、耐えて。
「やはり大したもの────ですが、やはり甘い」
「な────」
気付くよりも早く、握った左手の人指し指がめり込んでいた。鼻と、唇の間。即ち『人中』に。コツンと、本当に軽く。しかし、十分だ。十分に嚆矢の意識を刈り取って。
柔拳だけではなく、剛拳までも繰り出した彼女によって。
──世の中ってなァ……広い、なァ……まさか、多寡だか市井に…
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