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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
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 モニターに映し出されているのは、ジュエルシードが生み出した無数の思念体と、それを悉く一方的に殺していく、あの黒衣の魔導師だった。
 御神光。それが彼の名前であるらしい。僕等とは全く異なる体系の魔法を扱う『魔法使い』だという。その魔法が具体的にどのようなものなのかまでは分からないが。
(まぁ、知ろうと思えば知る事はできるはずだが……)
 ブリッジで青ざめている少女――高町なのはを見やる。いや、それは正確ではない。正確には、彼女が持つ一冊の本だ。御神光の相棒だと言う生きた魔術書。それを読み解く事が出来れば、おそらく理解できるはずだ。
(生きているっていうのが厄介なんだ……)
 指先が疼き始め、何度か軽く拳を握る。管理局への情報提供を断固として拒否したその魔術書を強引に読もうとした結果、危うく指を食い千切られそうになった。……ついでに言えば、その直後その魔術書が放った魔法で腕ごと吹き飛ばされそうにもなったが。
 彼女達がここにいる理由。それに関しては、別に僕らが強引に連行したという訳ではない。彼女と行動を共にしているスクライア族――ユーノはともかくとして、高町なのは自身はこの世界の生まれであり、この一件に関わるまでは魔法とは一切の接点がなかったはずである。もちろん、時空管理局など知る由もない。となれば、僕らにもさすがに強制的に連行する権限はない。精々が事情を聴取するのが限界であり――本来なら、デバイスを回収した上で元の生活にも同様促すのが通例ではある。……もっとも、彼女ほどの実力者であれば強制もしないが。
 さて。彼女がここにいる理由。それにはこのような出来事があった。
 御神光と初めて接触したあの日。彼に踏みぬかれた右腕の治療を終え、ブリッジに戻った時の事である。
「艦長。先ほどの公園に、あの白い少女が来てるんですが……」
 僕がブリッジに戻ると同時、オペレーターのエイミィがそんな報告をした。それと同時、モニターに拡大されて映し出される。バリアジャケットこそ纏っていないが、確かにあの少女――黒衣の魔導師の妹であるらしい、あの少女だった。
「何かを探しているようですが……」
 その少女は公園のあちこちをパタパタと走りまわり、時々立ち止まっては周囲を見回していた。何かを探しているのは明らかだった。だが、一体何を探しているのか?
「ジュエルシードの反応が近くにあるの?」
「いえ。今のところ反応ありません」
 アースラの捜索網に引っ掛からないものを、彼女が見つけられると言うのは正直考え難い。となると、彼女が探しているのは別の物だ。
「あの子は今まで、一体どこに?」
「えっと……。あの後、黒い少女の使い魔と思われる女性に、バインドで拘束されたまま住宅地の路地裏に放置されていたようですが……」
 あの黒衣の魔導師と黒い少女達の動向に関
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