■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆最終決戦
第四十四話 ラストバトル
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ばされる盾の内側から、ヒースクリフが勝利の笑みを浮かべるのを見た。
――ヒースクリフの長剣が音もなくミズキの胸へと吸い込まれていく――
その瞬間、不可解なことが起こった。ミズキの軽鎧とヒースクリフの直剣の間の空間に亀裂が走った。ヒースクリフの直剣はその亀裂に突き刺さり、大きく弾かれた。一方ミズキは亀裂に身体を半分飲み込まれた。ミズキの身体が雷に打たれたかのように痙攣し、ミズキはあまりの苦痛に顔を歪ませた。しかし意志の力で身体の痙攣を押さえ込んだのだろうか、彼は体勢を崩したヒースクリフに追いすがるように攻撃を繰り出した。
ヒースクリフはミズキの剣に対応しようと盾に力を込めたが、ミズキの表情に一瞬気を取られた。ミズキは既にヒースクリフを見ていない。どこか遠く、彼方を睨みつけていた。見ていないのではない――見えていないのだ。ミズキはこの最後の瞬間に、視力を失っていた。
しかし――彼の攻撃は的確だった。まるでミズキ自身は意識を放棄しつつも、その意志だけが剣に宿ったかのようだった。ヒースクリフは彼の剣をぎりぎりで防げなかった――間に合わなかったのだ。ミズキの剣はヒースクリフの胸に突き刺さった。
空間の亀裂は更に広がっていた。そこら中にノイズが走り、謎の破裂音が響く度に空間に小さな亀裂が生じ、亀裂からは白い雷の光が断続的に降り注いだ。一際大きな音と光が走ると――そこにもうヒースクリフはいなかった。途端に嵐のような光と音が止んだ。空間の亀裂も閉じた。
誰も何も言わなかった。ミズキはただ一人、攻撃した時の不安定な体勢でその場に固まっていた。重心は両足の上にはなく、彼が重力に引かれて倒れるのは当然のはずだったが、しかし彼は倒れる様子を見せなかった。空間に残されたミズキの剣もしばらく空中に静止していたが、突然思い出したように落下して大きな音を立てた。その音が合図になったのだろうか――剣が一度弾み、再び地面に接した時には、既にミズキの姿はそこになかった。ミズキの代わりに、その場には一つのシステムアラートだけが残された。
【DISCONNECTED】
第五部 終
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