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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆最終決戦
第四十四話 ラストバトル
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バのおかげで、俺はずいぶんと助けられた。これからもマルバと仲良くやっていってくれ」
「ミズキさん……なんで! なんでそんな、ここで死ぬのが当たり前みたいな挨拶してるんですか! どうして、なんでここでどうしても決着をつけなきゃいけないんですか……ッ!」
 シリカの悲痛な叫びに、ミズキはついに真実を告げた。

「俺は百層まで辿りつけない。分かるんだよ、死ぬときが近づいてきやがるのが。むしろここまで生きたのが奇跡だったんだと思うぜ。最近は頭痛が酷ぇし……それに一瞬でも気を抜くと、意識を失いそうになる。たぶん、脳になにか異常が出てきたんだろうな。ナーヴギアから一度も出てねぇから、医者たちも手が出せねぇんだろうよ。だからこそ、これは唯一の好機なんだ。ここで俺が奴を倒すことは、俺がお前たちと共に生きるための唯一の手段だっつーことだ。……俺は生き残るために、ここで奴を倒す」

 あたりは静まり返った。この事実を聞いて、彼を止められるものは誰もいない。最後に、マルバが搾り出すように言った。
「必ず勝って……一緒に戻るんだ、現実世界へ。絶対に見舞いに行く。死ぬんじゃないよ、ミズキ」
「当然だ。俺はここで勝って生きて帰る」

 ミズキは床に転がった自分の剣を取り上げ、その切っ先で倒すべき敵をびしりと指した。
「さあ……勝負だ、ヒースクリフ」
 ヒースクリフ――茅場晶彦が画面を操作すると、ミズキとヒースクリフのHPが調節された。不死属性を解除したと知らせるメッセージウィンドウが表示され、彼はその表示を一瞥すると床に付き立てた長剣を抜き、十字盾の後ろに構えた。


 ミズキが先に動いた。敏捷型の彼の全力の駆けはすさまじい速度で、そこにいるプレイヤーたちには残像さえ見えた。ヒースクリフの目前で向きを変え、盾で相手の盾を横殴りに殴りつける。ヒースクリフの盾の内側から長剣が目にも留まらぬ速さで繰り出され、ミズキはそれを紙一重で避けた。
 横で見ているプレイヤー達は、あまりにも高度であまりにも素早く――あまりにも人間的なその戦いを、目で追うことすらままならなかった。盾と剣がぶつかる音が絶え間なく響く。
 ミズキの剣がヒースクリフの髪に触れ、ヒースクリフの突きがミズキの盾に刺さる。返す刀がヒースクリフの鼻先を掠め、二段突きがミズキの籠手を砕いた。
 両者の実力は拮抗しているかに見えたが――盾の重さと筋力パラメータの優劣だけは誰が見ても明らかだった。ミズキの盾はヒースクリフのそれに比べてあまりにも軽かった。ミズキの斬撃をまったく危なげなく受け止めるヒースクリフの盾に対し、ミズキの盾は攻撃を受け止める度に左右に大きくぶれる。何度目の攻撃だろうか、ミズキがヒースクリフの剣を受け流すことに失敗し、その斬りを盾でまともに受けてしまったとき――ミズキは、遠くへと跳ね飛
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