■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆最終決戦
第四十三話 茅場晶彦
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れらから考えられる最も尤もらしい仮説は、今までだったら考えもしなかったものだった。――彼こそが、このシステムの設計者ではないかという仮説が、急に現実味を帯びた。
マルバは床に投げ出されたままのシリカの短剣を静かに拾った。ゆっくりと腰を浮かし、攻撃体勢を取ろうとする。彼がちらとシリカの方を見ると、彼女は何かに気づき、マルバに声をかけた。
「マルバさん、一体何を――」
次の瞬間、様々なことが立て続けに起こった。
マルバが短剣を投げるのと同時に、マルバの斜め後ろから黒い影が飛び出し、投剣が風を切る鋭い音を追いかけるようにヒースクリフに迫った。ヒースクリフは鋭い風切音を耳にするやいなや素早くこちらに向き直り、僅かに目を見張るも盾を引き寄せ防御態勢を取りながら、短剣を回避するように動き始める。短剣がヒースクリフの盾の隅をかすり、半秒あとに黒い影――キリトが突進技を放った。ヒースクリフが持ち上げた盾がそのソードスキルをぎりぎりで跳ね上げる――。
そして、キリトの剣が上空に跳ね上がったその時、ヒースクリフの背後のプレイヤーが彼を袈裟斬りにした。
【Immotal Object】――ミズキの剣は、ヒースクリフの胴を切り裂けなかった。代わりに出現した表示がその剣を防いだからだ。
「そういうことかよ――茅場晶彦」
ミズキの声は、氷のように冷たかった。あたりがしんと静まり返る。ただ痛いほどの沈黙だけがそこにあった。誰も喋らない。ただヒースクリフのすぐそばに光るシステム警告だけが、場違いに存在を主張していた。
「何故――気づいたのか、聞かせてもらえるだろうか?」
ヒースクリフはしばらく沈黙を保ったが、ミズキに向かっておもむろに質問をぶつけた。しかし、ミズキは肩をすくめるだけで、その問に正面から答えることはなかった。
「俺はただ、あんたが妙な奴だと前々から気にして書き留めていただけだ。マルバが攻撃したから、俺も加勢した。あんたが茅場だと気づいたのは、その奇妙な警告窓が出てからだ」
ミズキが既に消えた警告窓を一瞥して答えると、ヒースクリフはその視線をこんどはマルバに向けた。正体を見ぬいた訳を言え、ということだろうか。マルバが無言でシリカを見ると、ヒースクリフもその視線をシリカへと移した。
「ええっ、わたしですか? ええと……前に一度デュエルしたじゃないですか。そのときのヒースクリフさんの攻撃の避け方、あれは短剣技をほんとうに何度も撃ったことがあって、動きをかんぺきに憶えている人じゃないと絶対にできないような避け方だったので、不自然だと思ったのがきっかけでした。わたしはそれ以上は……」
マルバはその言葉を引き取って続けた。
「決め手はついさっきの動きだね。あんた、左手でメニューを開こうとしていたでしょ。左手でメニューを開けるのは
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