■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆最終決戦
第四十二話 決戦と代償
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の他のプレイヤーと同じように、かつて居た世界へ帰る道を見ていた。
マルバは頼もしい仲間たちに一瞬目を向けると、シリカと無言で一つ頷き合い、再びボスへと打ちかかっていった。この仲間を失わないために、勝ってみんなで元の世界で笑い合うことだけを目指して。その瞳は今倒すべき敵を見据えながら、その向こう側の幻想へ向けられていた。
何時間、戦っただろうか。
共に戦う仲間が何人か姿を見せないことに不安を感じながら、マルバは戦い続けた。彼はボスが砕け散っても、まるまる二分間は抜刀したまま緊張を途切らせることができなかった。最後の数十分はボスのHPバーを見る余裕すら失っていたのだ。戦いが終わったとようやく信じられた時、マルバはもうただ立つ余裕すら失っていた。マルバが気絶するように倒れこむと、ほとんど同時にシリカも膝をついた。激戦を生き残ったピナとユキも相当消耗している。二匹は二人の間に寄り添い、生きて戦いを終えられたことを喜んだ。
しかし……マルバたちも無傷というわけにはいかなかった。アイリアが何かを握りしめながら、ミズキの胸に顔をうずめ、声もなく泣いていた。彼女の手の中から黒いリボンが覗いていた。マルバはどこかで見た光景を一瞬思い出し、大切な仲間を失ったことを知った。ミズキの使い魔であるフウカがアイリアの肩に止まり、彼女を慰めようとその翼でアイリアの頭を撫でた。
マルバは隣に手を伸ばし、同じように伸ばされた手をとった。軽く握ると、ようやく生き残った実感が湧いてくる。なんとか身体に力を込めて起き上がると、先に起き上がっていたシリカと顔を見合わせ、微笑みあった。
「無事だったようだな……」
いつもの逞しい声も、しかし今は張りを失っていた。見上げるような巨漢エギルは、自分のギルドの被害を確認すると、一番近くにいたマルバたちに声をかけてきたところだ。
「なんとか、ですね。ただ、大切な仲間を失いました」
シリカはそう言ってアイリアの方をちらりと見た。
「でも、またプネウマの花を取りにいけば会えます。あの世までの長いお別れではありません。そちらは……大丈夫でしたか」
エギルは悲しげに俯いてそれに答えた。
「……ご冥福を、お祈りします」
マルバは絞りだすような声で、ただそれだけを呟いた。それしかできなかった。三人はしばらく沈黙し、失った仲間へ祈りを捧げたが、あと残り四分の一となった天上の城を突破する決意はまだ湧いてきそうになかった。
「まだあと……四分の一……」
エギルがぽつりと漏らした。マルバはなんとかその言葉を否定するだけの力をかき集めた。
「違う……。これが最後のクオーターポイントだ。あとはラスボスだけだ。僕たちは、ちゃんと先へ進めているんだ」
マルバは自分の言葉でなんとか自分を立て直した。悲惨な事実を、受け入れる
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