■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆最終決戦
第四十二話 決戦と代償
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一撃を喰らわせる。アイリアの初撃はしっかりとヒットし、それに続くようにボスの側方に回り込んだ仲間が各々の武器を振り上げた。
「……そこか」
音もなく一人の大盾使いがボスの正面に回りこんで、アイリアを狙った鎌を迎え撃った。鎌を抑えこむ際に大幅に押し返されたミズキとは対照的に、彼――ヒースクリフは軽々とその鎌を弾き飛ばした。
「ありがとっ」
「左側は任せ給え、君たちは右を頼む」
アイリアの礼に指示で答えると、その男は盾から剣を抜き、鎌を弾いて作った隙に追撃を打ち込んだ。ミズキも負けじとその不気味に光る鎌を睨み据える。襲いかかる鎌を、今度は一旦正面から受け、右に流した。四メートルほども押し返されながら、ミズキはなんとか鎌を回避すると、今度はその距離を一瞬にして詰め、持ち上げられた胴体に下から打撃を加える。その一撃に追いすがるように、光り輝く投剣が数本飛んできて、当たり判定の小さな骨の胴体をなんとか捉えた。『祝福』を受けた投剣、マルバの攻撃だ。
マルバは効果時間の短い『祝福』がかかっている間に手元の全ての武器をボスの身体に次々撃ちこみ、武器を失った自身はリーチの短い体術で殴っては逃げ殴っては逃げして、ボスの攻撃範囲をギリギリで避けながらの攻撃を繰り返していた。そのマルバの側で、こちらはマルバよりはだいぶリーチの長い短剣技、それも骨には相性の悪いはずの突き技を中心に攻撃を行うシリカ。二人は殆ど互いを見ていないにも関わらず、どちらかが硬直した隙に敵の攻撃が来た場合に備えていて、片方が危なくなるとすぐに援護ができるような状態を意識せずに維持していた。
「うおぉ……りゃあッ!」
ミズキが地面に叩きつけた鎌を、小ぶりのメイスが撃ちぬいた。鎌の刃が欠け、耐久値が下がったのが見て取れた。あと十回も同じことをすれば、部位破壊とまではいかなくても鎌の攻撃力を大きく下げることができるはずだ。テツオは身体を引き、次の攻撃に備えた。ミズキが追撃に出ているので次の攻撃を受けるつもりだろう。しかし、鎌はテツオを狙わなかった。すぐ側で攻撃体勢をとったままのササマルはあわてて避けようとするも、間に合わない。ミズキがそれに気づいて援護のため駆け寄ろうとするが、それを遮る声があった。
「私が受けるよ!」
割り込んできた剣士は片手に持った盾を振りかざした。ギリギリまで攻撃を引き付け、敵の攻撃を弾くことができるタイミングを見計らう。ミズキとは違う盾の使い方をするサチは、鎌を弾くと同時に剣での追撃を打ち込んでいった。
「助かる!」
ミズキは彼女に一声かけると再び防御に戻った。月夜の黒猫団――かつてマルバが攻略の手ほどきをした彼らは既に、攻略組のなかでも一握りしか参加していない、命を失う可能性の高いこの戦いにも立ち向かうに足るだけの、戦う理由を手にしていた。彼らの瞳はこの場
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