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絵に出てる
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第二章

「そこまで好きならもう実行に移したら?」
「あんたそんなに顔もルックスも悪くないし」
「成績もそこそこ」
「性格は確かにあれだけれど」
 そこはけなした。
「そこまで一人の女の子ばっかり描くかねえ」
「それで何ともないって言うその性格」
「あんたストーカーでしょ」
 こんな言葉まで出た。
「はっきり言って」
「だよな。写真も何も見ないでそこまで描けるって」
「ちょっとないだろ」
「そうよ」
「常に見てるからだよな」
「あれやこれやで」
 そうでないと描けない。それでだというのだった。
 それを話してだ。部員達は彼に言った。
「そこまで好きだったらな」
「本当に告白しちゃいなさいよ」
「なあ、いっそのこと」
「特攻して」
「だから何でもないんだよ」
 それでも言う彼だった。
「この娘は誰でもないからな」
「まだ言うか、こいつは」
「往生際が悪いな」
「全く」
「ばればれだってのに」
 それを話す。しかしなのだった。
 彼は描き続ける。それをしていく。そしてだ。
 絵は増えていく。とにかくそればかり描くのでだ。彼はそうしてだった。
 彼のことはだ。部員達も呆れていた。そしてまた言うのだった。
「シラを切るのもいいけれど」
「本人これ見たらどう思うだろうな」
「いいと思わないよな」
「そうよね」
 こう話していくのだった。
「ちょっとなあ」
「どうしたものやら」
「全く」
 本人にもここで言う。
「どうしても告白しないんだな」
「それはしないの」
「どうしてもなのかよ」
「だから何でもないから」
 やはりシラを切る彼だった。その顔を描きながらもそれでもだった。
「この人は。特にモデルは」
「よし、じゃあな」
 ここで部員の一人が言った。
「今度モデル連れて来るからな」
「モデル?」
「言っとくけれどヌードモデルじゃないからな」
 それは否定するのだった。
「それは安心しろ」
「そうそう。裸じゃないからね」
「むしろがっかりしたか?」
「高校生でそんなの描くか」
 雄一郎はむっとした声で彼等に返した。その間も絵に顔を向けている。
「大体俺は裸にはな」
「おや、興味がないのかよ」
「そうだっていうの?」
「思春期の少年がそれはまずいだろ」
「ないって言えば嘘になるよ」
 それについてはこう返すのだった。
「けれどな」
「けれど。何だよ」
「それで」
「それでも。あれだよ」
 雄一郎の言葉がここで微妙に変わった。

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