プリン☆アラモード
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を否定しなかった。
それでだ。恋人にこう返したのだった。
「実際に今凄い幸せだし」
「そんなに幸せなの?」
「うん、だってさ」
何故幸せに感じているのか。そのことも話すのだった。
「好きな食べ物をこうして食べているじゃない。それって幸せなことじゃない」
「それはそうだけれど何か些細ね」
恋人は彼の話を聞いてだ。こう言うのだった。
「それって」
「そうかもね。それでもね」
「幸せなのね」
「うん、とても幸せだよ」
笑顔で応える。
「本当にね」
「些細な幸せね」
恋人は彼の話を最後まで述べた。
しかしだ。その顔は微笑んでいてだ。彼に言った。彼女は幾多郎を見ている。ただ彼を見ているのではない。彼のその心、即ち彼の本当の姿を見てだ。そのうえで微笑んでいるのである。だからこそだ。彼女のその微笑みも純粋なもので。幾多郎が見てもだ。彼自身もまた微笑んでしまうような、そうした微笑みだった。
「けれど。幸せよね」
「とてもね」
「なら。私にもその幸せを分けてくれるかしら」
「君もって?」
「私もプリン食べていいかしら」
彼女の提案はだ。これだった。
「二人でプリン食べましょう。それで幸せになりましょう」
「そうだね。一人で食べるよりもね」
「二人の方が幸せになれるわよね」
「じゃあ。このプリンをね」
テーブルの上にあった一つのプリンをだった。ナイフで二つに切ってだ。その半分をだ。
白い皿の上に置いて彼女に差し出してだ。それで言うのだった。
「これでいいよね」
「一つのものを半分にしてなのね」
「そうしよう。一人で一つのものを食べるより」
それよりもとだ。幾多郎は話す。
「二人で一つのものを食べる方が。美味しいし幸せになれるよね」
「そうね。一人占めするよりはね」
「その方がずっといいから。だから二人でね」
「有り難う。それじゃあ」
彼女も応えてだ。そのプリンを優しい笑顔で受け取った。そうして二人でそのプリンを食べる。その味は。二人を最高の幸せに導くものだった。
プリン☆アラモード 完
2011・5・19
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