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SAO─戦士達の物語
GGO編
八十五話 今だけなら
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るべき事とは違うだろう。

「えっと、新川恭二くん。私のクラスメイト」
「えーっと、はじめまして。新川です。それで……」
恭二が遠慮がちに、しかし確かな目線で問う視線を送って来て、詩乃は一瞬二人の事をどう説明すべきか迷った。
唯の友達……と言うには余りに深い気がする。殆ど家族のようなものだ。けれど家族ではないし……と、詩乃が言うよりも早く、美幸が動いて居た。

「こちらこそ。はじめまして。しーちゃ……えっと、詩乃さんが小さい頃の友達で、麻野美幸って言います」
「桐ケ谷涼人だ。よろしくな少年」
「小さい頃の……?」
恭二が首をひねる。また数秒間何と言うべきか迷ったが……。

「うん。同じ街の出身。幼馴染……が一番正しいかな」
「そうなんだ……」
詩乃の後ろに居る二人を見た恭二の眼に何やら普段の彼と比べるといささか鋭い光を見た気がしたが、すぐに彼は微笑む。

「それじゃ、僕はお邪魔、かな?」
「あ、えっと……」
「別に良いぞ。俺らの事は気にしなくて。まぁ、此奴は夕飯作るって張りきってるが……携帯の番号だけ交換しときゃ良いだろ。買い物もすんだし」
美幸の方を指さして言った涼人に続いて美幸が微笑みながら頷く。

「うん、そうだね。しーちゃんはお話あるならしてきたらどうかな?」
「あ、え、へ?夕飯?え?」
どうも涼人の発言に聞き流せない言葉が有った気がして、詩乃は聞き返す。と、涼人があっけらかんと言った。

「あぁ。俺らの今日の目的、お前んち行って夕飯食うって。美幸の提案な。一応ばぁちゃん達に事前に家の場所と多分家に居るって事も聞いてたしな。あ、都合悪きゃ帰るぞ?」
「あ、いやそんなことは無いけど……え、でも悪いんじゃ……」
行き成り夕飯を作ってもらう(相手の金で)等良いのかと疑問なのと、行き成りの提案に戸惑いを隠せずに詩乃はどもるが、美幸は微笑んで……なおかつどこか興奮したように言った。

「そんなことないよ!久しぶりに三人で食べられるんだから、私頑張るよ!」
「え、あ、うん……わかった」
美幸お姉ちゃんって、こんなに押しの強い人だったけ?などと思いつつ、思わず頷いた詩乃を見て美幸は満足そうに「うんっ」と言った。
そうして、涼人と美幸は詩乃と携帯の番号を交換。涼人は路地をアーケードの方へと向き直ると、首だけで振り向いて言う。

「んじゃ、後でな。終ったらメールしろよ、適当にそん時落ちあう場所決めっから」
「うん」
「後でね。しーちゃん」
「…………」
頷くと、涼人と美幸はそのまま歩いて行く。東京のど真ん中のこんな場所で、故郷でのかなりの時間を共に過ごした兄姉に出会ったことにはいまだにいまいち現実感が無かったが、それでも嬉しい事に変わりは無い。
去って行く二人の背中を見ながら、今夜の食事に期
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