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SAO─戦士達の物語
GGO編
八十五話 今だけなら
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呟くように行った詩乃に、リョウが笑いながら返す。

「うそってお前……ひでぇな。幽霊にでも見えんのか?足あんぞ。ちゃんと」
そう言って、涼人は詩乃の前で足を持ち上げて見せる。すると、美幸が口を尖らせて言った。

「しーちゃんは驚いただけだよ、りょう。からかっちゃだめだよ」
「へーへー、分かってますっての」
顔をしかめて涼人がそう涼人が返すと、詩乃がくつくつと笑う。

「なんだ行き成り、なんで笑う?」
「しーちゃん?」
「え……?う、ううん。何でも無いよ。それと……」
そろそろ自分でも立てるよ。と、彼女が言うと、「お、そうかい」と言って涼人はゆっくり支えていた肩から手を離した。

何故笑ったのか……何故だろうと、詩乃は考える。
先程までは自らの持つトラウマを刺激されたことと、見知らぬ(実は見知っていた訳だが)男に肩を掴まれていると言う悪寒と吐き気で体が心から冷え切っていたのに……
昔馴染みの二人……兄とも、姉とも呼べる人々が突然すぎるにもほどが有るほど突然現れ、自分の前でいつかのように……けれど、以前はからかうだけの涼人と困ったように返す美幸だった構図が、からかう涼人にたしなめる美幸と言う、少し変わった構図になっていた。
何もおかしくはないはずなのに、それを見ただけで、彼女の体の奥底から温かい物が湧きあがって来て、失っていた体温を取り戻し……つい、どういうわけか笑ってしまった。

『……あぁ、そっか』
嬉しいのだ。自分は。
久しく会って居なかった友人……否、兄姉とも呼ぶべき二人の幼馴染に会う事が出来て……唯純粋に嬉しい。東京に出て来てから……否。「あの日」が過ぎてから、「嬉しい」、「楽しい」が明らかに少なくなってしまった詩乃の世界の中で、もう遥か昔……時の中に過ぎ去った幼少の……彼や彼女とすごした時間はいわば温かい暖炉のような物で。その再現のような……過ぎてしまった時を繰り返すかのような時間が、今目の前にある。

「ふふ……」
「?あぁ?やっぱ笑ってんだろ、何だよ?笑える事あったか?あ、笑えると言えばさっきな……」
「りょう!」
「っとと……」
すぐ近くに居るだけなのに……何故だろう。こんなにも楽しい。嬉しい。

「えーっと……朝田さん、大丈夫?」
「へっ!?」
と、彼等の物では無い。別の人間の声が聞こえて、詩乃は意識が急速に戻るのを感じた。振り返ると、そこには顔なじみの男子生徒が遠慮がちに立っていた。

「えーっと、なんか路地裏から彼奴らが走り出てきたから来てみたんだけど……えっと?」
「あ、えっと……」
「あ、しーちゃんの友達?」
「え?あ、うん」
少年は、詩乃の元、クラスメートだった少年だ。もと、と言うのは彼が二学期から学校に来ていない事に起因する言葉なのだが……まぁそれは此処で語
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