下忍編
必要不可欠
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みついたその体を隠すように、彼女は笑う。
……さんだから、ちゃんとまもってみせるから。
そういって伸ばされた手と共にノイズが走り、場面はいきなり切り替わる。
伸ばされていた手が、真っ赤だった。鮮血が、顔に降り注ぐ。
今はそんなことを考えている暇がないのに、ほほにかかる髪が、くすぐたかった。
あの人の泣き声のような笑い声が、耳を騒がせる。
『大好きだよ。ずっとずっと忘れないから、どんなに離れても、私はあなたの家族だから』
『ありがとう、ごめんね?』
貴方はなにも悪くなかったのに、どうしてあなたが謝るの? 貴方は被害者だ。今でも、そして、これからも。彼奴らが勝手に、あんたに押し付けて。あんたは何も悪くなかったのに。あんただけ傷ついて、気が付けば、あんたはそんな風になってた。
あんたが悪いわけじゃない。悪いのは、周りの奴ら全員だ。
そういったはずだったけど、震えていた喉は何も言えなくて、貴方はただ笑って、俺を抱きしめた。
ぬるりと、血が頬を伝って、気持ち悪いと思った。
あの感覚が、何故か今になって思い出された。
何故だろう、血を浴びたからだろうか。目の前で倒れ伏す、霧の抜け忍を見ながらそう思って、ただそこに立っていれば、あのお調子者が俺に話かける。
「湖面、どうしたんだってばよ、黙って?」
何故だか、性格とか容姿とか才能とかそれ以前の問題で、こいつの存在自体、俺は気に入らない。同族嫌悪のようなものだとは思うが、俺がこいつと似ていることなど、何一つありゃしねぇ。なのに、なぜか本能的な部分でこいつと似ていると思い、こいつのことを嫌ってしまうのは一体なぜなのか。
それはきっと、思い出してしまったあの記憶にうつる少女が、こいつの兄によく似てるからだろうと、そう判断する。
血に染まったせいで真っ赤になった背中にまで伸びた長髪や、ふと見せる優しい瞳が、こいつの兄に似ているからだろうと判断し、肩をすくめて答える。
「あいつら、一体、どんなやつを敵にしてんだよと思ってな」
第七班に課されたらしい任務は、当初Cランクだったというのに、実は依頼人が情報を偽っていたらしく、俺達第六班は急遽第七班の援護と、任務の危険度を図るために派遣されたわけだが、これはどうやら、俺が思っているよりも、激しい任務らしい。
あいつらの影を追うたびに現れる雇われた抜け忍たちの強さは、流石に追忍から逃げ続けていただけあって、相当なものだ。あのカカシ先生の報告には、再不斬という霧がくれの鬼人。
俺が知る情報では、昔、霧忍の下忍合格試験では、下忍を目指した生徒たちが殺しあうという試験があったらしいが、その再不斬という男が、自分以外の全ての生徒を殺してしまったらしい。
猟奇的…という話どころで
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