おまけ:いざゆかん妖精の世界
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り、病原菌に抵抗する免疫が無くなるため一方的に病魔に侵される。潜伏から発症までのスパンを薬で先延ばしにすることは出来るが、発症すれば・・・実質的には死の病だ。HIVそのものはとても弱いが体に入ると手が付けられない。
感染経路は性行為、血液経由、母子感染の3つ。今回の少女は2番目らしいが、数日前に突然彼女の白血球がHIVに対する免疫を持ち、ウィルスはどんどん減少しているようだ。今まで白血球はHIVウィルスに対抗できないとされていた。発症前にHIVを根絶した前例はあるが、発症後の自然治癒など想定外もいい所だろう。
「ま、それはいいとして・・・」
モニタから目を逸らして後ろを見ると。
「えっと、これがスネアで、これがタムかな?・・・えい!やあ!とーう!」
ドン、タン、シャーン!とリズムもへったくれもない音が鳴り響く。
俺の後ろでは、ドラム的な楽器を出鱈目に叩いてきゃっきゃとはしゃいでいるインプの少女の姿があった。俺とエンドレスアンコールをやってた子だ。
なんか他の常連ともちょくちょく顔見知りだったらしいが、結局この子は何者なんだろうか。というか、ALOに楽器が多くあるのは知ってたがドラム再現率高いな、とよくわからない関心を抱く。友達から預かりっぱなしの安物ドラムよりいい音が鳴ってる気がするのは少々切ないが。
本人曰く俺のバンドに所属する気らしい。
そういうのは募集してないし、リアルの付き合いも無い人にいきなりそんなこと言われても困るんだが。
しかもなんか彼女の言動を見てるとあのアバターと同じかそれより幼い年齢のような気がする。そこはかとなく犯罪臭のする組合わせだ。
本音を言えば時間の都合とかあるし、一人の方が気が楽だから断りたいのだが・・・SAOでよくしてもらったプレイヤーの数名にその旨を告げるとすごいブーイングを受けた。
あの子の境遇が何とかいってたが、俺はそんなものは知らないんだが?なんで皆さも俺も知っているみたいに話すのだろう?
聞ける空気じゃないから結局引き受けざるを得なかった。
と、女の子がシンバルを出鱈目にシャンシャン鳴らしながらこちらを呼ぶ。
お茶碗を箸で叩いているようだ。まったく、子供っぽい。
「ねーねー、このペダルみたいなのどうやって使うのー?」
「ああ、それはだな・・・」
しかしあれだ。妹とかいたらこんな感じかなって思うのは幻想の見過ぎか?
数年後、俺は彼女の素性を知って腰を抜かしかける事になる。
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