おまけ:いざゆかん妖精の世界
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!父さんと母さんとお姉ちゃんまで殺した極悪ウィルス!」
白血球に張り付くように存在する大量のソイツにびしっと指を指してみる。
ぎしゅぐしゅと訳の分からない音を立てるそいつらは声に呼応するかのように集い、互いの身体を次々に結合させて一つの巨体となる。
死神のように白く、しかし体中のあちこちに開いた不自然な穴の中からはヘドロのような紫色の液体を巻き散らす化物。
彼女の身体の十数倍はあろうかという巨体。
まるで白血球を苗床に育ったように球から生えたその身体は刀のように鋭い爪を持った腕部を体中から生やし、まるで獣の骨に無理やり肉を張り付けた様な醜悪な顔面を晒す。
その顔にあるくぼみの奥に光る眼光が、彼女を見下す。
まるで脆弱な虫を見下ろすかのような視点。
だが少女は臆せず、それに立ち向かう。
「お前の所為で僕の体はぼろぼろだ!!髪もぼさぼさだし皮膚なんかあちこち変色して、アバターと全然違う!口の中とか肝臓とか、健康な所探す方が難しくて息するだけでもすっごく辛い!!こんな体に誰がしたー!?・・・・・・お前らだ―ッ!!」
化物ウィルスはそんな彼女をあざ笑うかのように不気味に体を揺らし、揺らすたびに体のあなからぼちゃぼちゃと不快な音を立てて液体をばらまいた。そして不意に、停止。
直後、化物ウイルスは死神の咆哮を上げた。
全ての生物をその最後まで侵し尽くそうとするかのような病魔の誘いを、彼女はきっぱり拒絶して見せた。
「よって僕は気合でお前らを撃退する事にした!あとは野となれ山となれ!そして喰らえ秘剣・・・」
いつの間にか手にしていたのは自分の愛剣。
万感の思いと魂の叫びを乗せて、彼女は剣を振るった。
化物もそれを迎え撃つように大量の腕を振り回し、哀れな小娘をずたずたに引き裂こうとするが・・・彼女の方が速かった。
「母なる十字架ォォォーーーーーッ!!」
繰り出されるは怒涛の11連撃。切り裂かれたのは化け物の方だった。
その日彼女は、夢の中で自分の身体に巣食う病魔と闘い、勝利した――
そんな感じの夢を見た。
= 数日後 =
『続いてのニュースです。世界的に見ても前例のない、奇跡が起きました・・・・・・』
「すげーな・・・エイズっていえばまだ治療法が確立されてない筈だろ?自然治癒とかあり得んな・・・いや現実に起きてるんだけど」
最近の更新で外のテレビがゲーム内でも見れるようになったので試しにやってみると、凄いニュースが流れてた。
エイズ・・・より小難しく言うと後天性免疫不全症候群。
HIVというウィルスが人体の免疫能力を奪うという恐ろしい病気だ。発症すればちょっとした細菌であっても体の中から追い出せなくな
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