おまけ:いざゆかん妖精の世界
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子だ。
からかわれている、という訳ではない気がする。彼女なりに何かを掴もうとしているのだろう。
果たしてこの子は俺の歌を聴いて、いったい何を見出すのか。
ふと、アンコールの声が止まった。どこか憂いを帯びた少女が、俺の顔をじっと見つめる。
「未来って・・・僕にも掴めるのかな?」
「望んだ未来なのかは分からないぞ。掴むのは選んだ未来だ」
「選べるの?未来を・・・例えもうすぐ死ぬ人間でも?」
「選べるって思ってなきゃ、今頃全人類首つって死んでるぜ。希望があるかもって思ってるから人は生きてるんだろ?」
「なんだよそれ。僕には分かんないなぁ・・・」
「難しく考えるなよ。末期ガンだって敢えて治療しないほうが長生きするってデータもあったんだぜ?気合と運だ、人生なんて」
運だからこそ、世の中は不平等だ。
そして気合は一発逆転の可能性を秘めた爆弾。
まるで博打のようなそれは、事実博打にも似ている。無論、そんな俺の持論など彼女に伝わる訳もなく、少女は胡乱気な目線でいい加減なことを言うなといわんばかりに不満顔をしている。
「・・・・・・お兄さんも気合と運で生きてるの?」
「そうだなー・・・命の危機もそれなりにあったもんな。気合と運がなけりゃ今頃骨壺の中だ」
「段々お兄さんがどんな人なのか分かんなくなってきた・・・」
俺の波乱万丈な人生の一部が口から洩れてしまったせいで少女は混乱しているようだ。
考えてみればレベリングの度に大苦戦して何度も死ぬ思いをした。
実はレッドプレイヤーに殺されかけたこともある。それでも常連さんやファンの客に助けられて、今もこうして生きてる。
それが運ならば、腐らず演奏し続けたのが気合。
それが今という未来に繋がる道になった。
「深く考えるな。理屈なんか無視だ。未来はどこにある?」
「・・・僕らの、手の中にあるの?」
「そういうことだ」
「・・・信じていいの?」
ちょっと潤んだ目で問われた。
このゲームの表情エンジンは結構オーバーリアクションだから、大袈裟に表現されてるのかもしれない。
ともかく、俺はこう返答した。
「俺を信じてどうする?自分を信じるんだよ」
「・・・・・・うん、やってみる」
やがて消えるように、少女は行ってしまった。
結局よく分からない問答になってしまったが、大丈夫だろうか?なんか変なことをやらなければいいが。
= =
僕は生きる。
そう決めたんだ。
僕だってもっと普通の女の子みたいに過ごしたい。
エイズだからって皆に白い目で見られて、酷い扱い受けて。
この剣と魔法の世界にしか居場所が無いなんて、本当は嫌に決まってる。
だから僕は――ウィルスにモノ申す!!
「やい、HIV共め
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