おまけ:いざゆかん妖精の世界
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歩けば疲れを感じ、トイレにも行きたくなる体。
異国情緒あふれるレンガ造りの町も、体中に装備をぶら下げて歩く冒険者もいないし、何所を探してもモンスターはいない。
死の条件は心臓か脳かの停止にすり替わり、アイテムを虚空に格納することももうできない。
――現実世界だ。
将来の夢も定まらないまま過ごす毎日だったが、やはりここが自分のいるべき世界だと強く感じた。
オンラインゲームなどもう手を出すまい。
フリーターでもしながら呑気にミュージシャンを目指そうと、今でも路上ライブを続行している。
・・・・・・聞きに来る連中の7割がSAO生還者なのが悩みの種なのだが。
最近は、どこから情報が漏れたのかSAO内であの歌が流行ったことが世間に知れ渡り、20年近い時を経て再評価されてるそうだ。あの名曲を知る人が増えたのならば俺にとっても喜ばしい。
そうして着々とSAOから離れつつあった俺だが、ネトゲ廃人の皆はそうもいかないらしく。
「ALO?」
「アミュスフィアとソフトとプレイ環境はこっちで用意したから」
「お、おう」
「所属する妖精族ももう決めてあるから!遠慮すんなよな!」
「あ、ああ」
「このゲームはSAOと違って戦わなくてもやっていけるんですよ?」
「そ、そうか」
常連客達に半ば強制的に肩を掴まれダイシーカフェの奥に連行された俺は、いつのまにやらまた仮想現実世界に行くことになっていた。
おかしいな、俺こいつ等の中では年長の部類に入るんだが・・・何故こんなに押しが弱いんだ?
理不尽ヒロインに服従させられる小説主人公の気分をちょっぴり味わった。周りは半分以上年下の男だが。
強制リンク、スタート。
おまけその1 強制連行ALO編
何でもこの世界ではプレイヤーは妖精族であり、それぞれ自分の所属している種族の勢力を伸ばしていくゲームだったらしい。
ところがそれから色々とあって、今ではなんとここからSAOを再プレイできる状態になったとか。
「外から見上げるアインクラッドってのも変な感じだな。俺、あそこにいたのか・・・」
上空にそびえる天空の城はとても巨大で美しく、あの中で人が沢山死んだと言われてもピンとこない。
SAO攻略組はあのアインクラッドを今度こそ純粋なゲームとして攻略したいらしく、多くの元攻略組が集っているとのことだ。
そしてその過程で、俺がいないじゃないかという話題になったとか。
「にしてもなんだこれ・・・」
俺は自分の髪の毛と、頭に生えた限りなくフィクションなものを触った。
まさに自分の体の一部であるかのように神経が感じているそれは、上にそりたつ長いロバの耳。
そう、俺の頭には今、耳が生えている。毛の生えていない筈の俺の耳が、見事にケモノミミに変
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