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ドリトル先生と伊予のカワウソ
第八幕その六

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「時々食わねば気が済まぬ」
「そこまでお好きなのですね」
「では先生もな」
 長老さんはたぬきそばを前ににこにことしながら先生にお話します。お屋敷の中でもとりわけ広いお部屋に長老さんと先生達がいます、他の狸さん達もです。 
 座布団の上に座ってです、お膳の上に置かれているたぬきそばを見て言っています。
「遠慮せず召し上がって下され」
「何杯も食べていいの?」
「たぬきそばも」
「うむ、遠慮せずにな」
 長老さんは動物の皆にも答えました。
「食するのじゃ」
「それじゃあね」
「何かこのお蕎麦も凄く美味しそうだね」
「普通のお蕎麦じゃない?」
「香りが違うね」
「手打ちでな」 
 それで、というのです。
「しかも打ってくれた狸はわし等の中で一番の蕎麦職人じゃ」
「だからなんだ」
「このお蕎麦も美味しいんだ」
「それも凄く」
「そうじゃ、その美味さに驚くぞ」
 そこまで美味だというのです。
「ではな」
「では」
 先生が応えてでした、そうして。
 皆と一緒にお蕎麦を食べました、実際に食べてみてです。
 先生は満面の笑顔になりました。一口啜ってから長老さんに答えました。
「いや、これは」
「美味いな」
「はい、とても」
「そう言って頂いて何よりじゃ」
 長老さんも笑顔で述べます、そのたぬきそばを食べながら。
「では楽しまれよ」
「このお蕎麦を食べて」
「たぬきそばは最高じゃ」 
 狸さんならではの言葉でした。
「やはりこれを食わなくてはな」
「そうですよね、やっぱり」
「時々でも」
「お蕎麦はたぬきですよ」
 他の狸さん達も言うのでした、長老さんに応えて。
「他のお蕎麦もいいですけれど」
「まずはたぬきですよね」
「僕達はそうですよね」
「うどんは正直どれでもよい」
 長老さんはおうどんにはこだわりを見せませんでした。
「きつねでも何でもな」
「そうそう、どのうどんでもね」
「いいんですよね」
「しかし蕎麦はじゃ」
 これは、というのです。
「やはりな」
「たぬきですね」
「これですね」
「そうじゃ、では今日はな」
 このお昼は、というのです。
「腹一杯食おうぞ」
「お蕎麦は一杯ありますしね」
「それでは」
「先生も他のお客人も遠慮せずにな」
 皆もというのです。
「何杯でも召し上がって下さい」
「はい、それでは」
「お言葉に甘えまして」
 先生と加藤さんが応えてでした、そうしてです。
 皆そのたぬきそばを堪能しました、一杯食べて。
 そしてさらに食べるのでした、次々におかわりをしてです。先生も気付けば三杯食べていました。ですが。
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