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どちらか
第四章

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第四章

第四章 ハーレムをこのまま持っている
 ケムルはだ。決断した。
「やっぱり。女の子達と一杯いる方がね」
「その方がいいのですね」
「うん、そうするよ」
 こう言うのであった。
「確かに大変だけれどね」
「わかりました。それでは」
 こうしてだった。彼はハーレムを選んだ。しかしだ。
 状況は変わらなかった。相変わらずだ。
 女達の喧嘩や嫉妬、泣きや酒乱に浮気といった悪癖は収まらずだ。大変なままだった。しかも子供達まで生まれたのだった。
 すると今度はだ。女達はだ。
 彼よりも子供達の世話に関心がいってだ。彼の相手をしなくなった。それでいて喧嘩や嫉妬はそのままだった。むしろ子供達の問題が加わってだ。
 どうしようもない状況にだ。さらになっていた。それでだった。
 ケムルはだ。前以上に頭を抱えてしまっていた。その彼にだ。
 ジャアファルが問うのであった。
「今のお気持ちは」
「最悪だね」
 これが今の彼の心境であった。それをそのまま言ったのである。
「どうしたらいいのかな」
「せめてお子様達のことはです」
「そうだね。家督を定めてね」
「はい、そして財産の分担を」
「しておこうか。それにしても」
 ここでだ。ケムルはぼやいてだ。こんなことを言った。
「ムハンマドが奥さんは四人までにしろと言ったのはね」
「おわかりになられましたか」
「何十人もいたらそれこそ戦場だよ」
 それも常にである。休まる暇がないのだ。
「それがよくわかったよ」
「左様ですか」
「本当にね」
 項垂れた顔でこう言うのであった。美女が多いからといっても幸せにはなれない、それが彼がハーレムから学んだことだった。


どちらか   完


                 2011・3・24

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